動く際に、音が大事だと以前からお伝えしています。
例えば、真っ直ぐに伸ばした左腕を真横に上げる（真下に下げているところから）、とします。
これ、どんな風に上げますか？
まずは実際にやってみて下さい。
そして、どんな風に上げたかを、私に説明してみていただけますか？
電話か？それともメールか？
その説明の際に、「ゆっくり」上げた、「はやく」上げた
という言い方はしないで下さいね。
どの程度のゆっくりさか、はやさか、私にはイメージが湧かないので。
私がその説明を聞いて、だいたい似たような感じで再現出来るようにして欲しいんです。
けれど、込み入った説明はよして下さいね。
ひと言でお願いします。
どうでしょう？
あまり難しく考えないで下さいね（笑）
多くの人は
「スッと」「スーッと」
といった言い方をすると思うんです。
音。擬音ですね。
もし「グワッ！と」上げるとしたら、どんな風に上げますか？
力を入れて勢いをつけて上げるのではないでしょうか？
同じ、腕を上げるでも、どんな風に上げるかは、色々ですよね。
「グワッ！と」はそれなりに速いですけど、
同じ速さで「シュッ！と」ですと、違った質感の動きになりますでしょ？
で、例えば、「グワッ！と」と「シュッ！と」とを、
このような擬音ではなく、言葉で説明して再現しようとするとどうでしょう？
かなり難しいですよね？
といったように、動くといいますのは、必ず質感を伴うものなんです。
速いとかゆっくりとか、そういったことだけではないんです。
で、その質感は、「〇〇のように」という言い方も出来るのですけど、
その「〇〇のように」動こうとした時、自分の中に音のイメージが湧きませんと、
上手くいかないんです。
基本的に、自分の中にある音通りにしか動けないものなんです。
猫撫で声を出しながら、シャキシャキ動くのは難しいんです（笑）
逆の例になりますけれど、声優さんがマイクの向こうで棒立ち無表情を強いられたら、
拷問のはずなんです。
もちろん、身体を動かす際に、実際に声を出す必要はありませんで、
イメージでの音でいいんです。映像を伴っても構いません。
いずれにしましても、音です。
特に、音の質感です。
赤ちゃんへの「いないいないばー」も、棒読みのようになってしまうようでは、
困ります。
そういったことですね。
音の質感は、触覚とも繋がっています。
ある意味、感情面とも繋がりがあります。
得意な質感、苦手な質感、あると思います。
それは、自分に許している、受け入れている感覚か、
それとも受け入れられない、拒絶している感覚か、
ということでもあります。
受け入れられない、拒絶しているのは、なぜか？
自分自身を自分で作ったイメージに閉じ込めているからです。
よく「自分を解放しましょう」みたいなことが言われますけど、
それは、単に思い切ったことをやるみたいなものではなく、
この自分を縛っているイメージを外すことが大事だと思うのです。
どういった質感で動くか？動けるか？
意外に奥深いことなんです。
いわゆる身体能力だけの問題ではないんですね。
自分の動きを見るとき、こういったところも見るようにしてはどうでしょうか？
