レッスンをしていますと、どうも多くの人が
「しなる」動きが苦手なように感じるのですけど、
これを読まれている方は、どうでしょうか？
「しなる」と似た動きに「曲がる」があります。
「しなる」と「曲がる」・・・似ているけれど、全く違うもの。
「しなる」には弾力がありますよね。
一方、「曲がる」には弾力はありませんね。
「くの字に曲がる」とは言っても、「くの字にしなる」とは言いません。
「曲がる」には折れるといったニュアンスがありますね。
ぐわーんとしなる。ぐにゃっと曲がる。
これ、言葉を入れ替えるのは無理があります。
久しぶりに「和の身体」と「西洋の身体」のお話です。
しなる動きですけれど、これには身体の前後のしなりと、横のしなりがあります。
ちなみに、前後で連続的にしならせますと、ドルフィンキックのように身体が波打ちます。
この前後のしなりですけれど、弾力がありませんと、
腰を前後にクネクネするような感じになってしまいます。
水泳のバタフライで、慣れない人がお尻をヒョコタンヒョコタンと動かしてしまう、
あの感じですね。
地上で立ったまま、その動きをしますと、
下品な、あるいは冗談のような、いやらしい動きになってしまいますね。
これは、腰の辺りで前後に曲げる動きをしている。
つまり、私の言葉で言いますと、
エネルギーの通っていない動きです。
（良くない動きというわけではなく、これはこれで必要な動きです。）
次に、横の動きですけれど、
これがまた厄介でして、
（片足立ちで）横のしなりを作りますと、
多くの人が曲がってしまうんですね。
お尻、腰が横にクッと出っぱってしまう感じ。
しなっている場合は、身体の上下が長くなり、強さ・張りも出るのですが、
曲がってしまっている場合、短くなり、身体が休んでしまうんです。
横にしならせながら、ねじることで、
躍動感やセクシーな感じが出るのですが、
しならせることが出来ませんと、
ねじりにならず、ひねってしまうんです。
曲げながらの動きになってしまうものですから、
身体が休んでしまい、
腰・お尻がヒョコタンと出てしまうんです。
当然、躍動感は出ませんし、
セクシーにもならず、幼い感じに。
ところで、「ひねる」「ねじる」は、言葉の定義の問題もあり、
なかなか扱いが難しいのですけど、
「ひねる」は、伸びる力がなく、「ねじる」には伸びる力があると思って下さい。
ねじる動きは大切でして、螺旋の動きはねじりなんですね。
けれど、ひねる動きは折り曲げてしまう動きなものですから、
エネルギーが通らないんです。
和の身体は、しなりが苦手なんです。
その上、力を抜くことを良いこととして絶対視していますと、しなることが出来ません。
和の身体で伸びやかさ、躍動感が出ないのは、しなることが出来ないからです。
ただ、気をつけて下さいね、
しなることが出来ないからと言って、和の身体として質が高いわけではないですから。
最後に。以前聞いたお話です。
南米系のダンスで、腰をくねらせるような感じのもの。
これを日本の女性に教えている南米の男性ダンサーが、
「いやらしく腰を動かすから、見ていて恥ずかしくなってしまう。」
と言っていたらしいのです。
「しなる」と「曲がる」・・・似ているけれど、全く違うもの。
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