オーガニック・アートマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

ねじってはいけないのか? 螺旋とは?

武術・武道系のことをされている方はもちろん、身体の使い方の学びで武術・武道系のものに触れますと、

「ねじってはいけない」

という言葉に出会うと思います。

 

そこから、「なんば」の歩き方が良いとなっていったりするわけですけれど、この「ねじってはいけない」には注意が必要です。

 

「ねじらない」と言えど、本当に動ける人のそれと、そうでない人、学ぶ側のそれとでは、中身が違うんです。

 

「ねじる」のは西洋的な動きで、「ねじらない」のが和的な動きだと、考えられていると思うんですけど、武術・武道系に出てくる言葉で、西洋系では出てこない言葉があります。

 

「割る」です。

 

「割る」という言葉は、武術・武道系になんとなく触れた程度ですと、出てこないと思うんですけど、基本は「身体を左右に割る」になりまして、でも聞いてもよく分からないですよね?

 

身体を左右に割る??? ですよね。

 

で、「割る」というのは西洋的な動きには出てこない言葉です。

 

なぜか?

 

「ねじる」というのは、「割る」+「伸びる」に近い動きだからです。

 

同じとは言いませんけれど、「ねじる」とは、「割りながら伸びる」ような動きなんですね。

逆に、「割る」とは、「ねじるけれど伸びない」ような動きなんです。

 

 

西洋の身体は有線で繋がっていて、和の身体は無線で繋がっているというお話を以前しましたように、和の身体は無線であるがために、伸びることが難しいんです。伸びられない身体で、それでもねじるような動きをしようとしますと、「割る」という、隣り合ったものがズレるような使い方になるんです。

 

そして、もし「割る」が出来ないままに、ねじるような動きをしますと、ねじりのエネルギーが流れていく先がなくなるために、関節を痛めてしまいます。

 

見方を変えますと、「割る」ためには、本格的に無線的な身体になっている必要がありまして、多くの日本人は無線でもなく有線でもなく、混線している身体ですから、「伸びないでねじる」は単に関節を痛めることになりますから、「ねじってはいけない」となるんです。

 

「割る」ことが出来ず、そして「ねじらない」で動きますと、一枚の板のようになってしまいます。

板を人間に見立てて、歩かせようとしますと、当然、「なんば」の歩き方になりますでしょ?

(一般的に「なんば」とは、右足と右手が一緒に出るような歩き方をいいます。)

 

 

 

武術・武道系のことをされている方の中には、「螺旋」が大事だという言う方がいます。

これは、「ねじる」ということですよね。

ねじらないで螺旋の動きは、出来ませんでしょ?

 

「螺旋」に意識が向かうということは、有線的な身体の使い方だから。と言いますか、有線であることに自覚的なんだと思います。

 

 

ちょっとお話逸れますけれど、本当に螺旋の身体の場合、真正面にまっすぐ立っていましても、左右の半身ごとに螺旋・ねじりが働いているんです。

一枚の板ではないということです。

 

 

さて、「ねじってはいけない」ですけれど、これをそのまま受け取るのでではなく、「割る」とセットにするか? あるいは「ねじってもいい」ただし、「有線で伸びながら」とするか?

(伸びる方向の問題は、ここでは触れません)

 

 

何か参考になればと思います。

 

 

ちなみに、西洋的なねじり・螺旋であっても、様々なところに「割る」感覚があることが望ましいと私は考えています。

 

 

 

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