オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

内面重視での演技・・・身体はどこに? 4

さあ、『内面重視での演技・・・身体はどこに?』の最終回かな?


キャラクターと素の自分ということについて。


舞台で演じるキャラクターというものが、ある身体の状態であり、
それは素の自分という層からは何層目か上の層の状態であるわけですけれど、
よく「自分のキャラクターを活かす」ということが言われますよね?
これはどういうことなんでしょう?

これは、素の自分というところの自分と、
一見、素であるようなキャラクターを持っているところの自分
というものに、分けて考えた方がいいと思うんです。
(何だか、ややこしいですね・・・)

私たちは日常生活のほとんどを、本当の素の自分というよりも、
素であるようなキャラクターを持っているところの自分として、他人に接していて、
それは、意識的にも無意識的にも、
他人にこう見られたいという自分の像を演じているんだと思うんです。


ですから、ここでいう素の自分といいますのは、
そういう余計な装飾を外したところの自分ということで、
他人の目を全く意識させないような、ひとり静かに過ごしている時でありますとか、
スポーツでも創作活動でも何かに夢中になっていて、我を忘れているような時なんかは、
素の自分に近いかな?と思うんですね。
(あまりに幼少の頃から長い期間、自分を演じている人や、
いつも何かに怒りを感じている、逆に恐れを感じているといったような人は、
こんなときでも素の自分ではないかもしれません。)


私がここでお話している素の自分といいますのは、
「ただただ人間」
という存在なんですね。


私たちのマイムでは、この素の自分、「ただただ人間」という存在でいることを
大事にしているんです。

なぜか?といいますと、2つ理由がありまして、
ひとつは、演じている際に、観客のあらゆる人が演者にその人自身を投影しやすいように、
演者は自分の色を無くすんです。

もうひとつは、自分を無色にすることで、何かキャラクターなどの色を加える際、
純粋にそのキャラクターの色だけが見えるようにするんです。
自分の色で濁らしてしまわないように。


もちろん、全く無色の存在になんてなれませんよ。
お釈迦様じゃないんですから(笑)

それぞれに違う肉体を持っていますし、顔も違いますから、
身体表現などで同じ型を演じましても、各人の特徴は現れてきます。

けれど、大事なことは自分を見せるために演じるのではなく
演じられているもの(表現内容)を自分を通して見せるということなんですね。

自分のキャラクターを活かすといった場合は、
どちらかといいますと、自分を見せるということになります。


無色を目指しつつも全く無色ではない、ある意味隠しようの無い個性と、
(本人は無自覚だとしても)日常生活でこう見られたいと演じ続けてきた、
一見素であるようなキャラクターを持っているところの自分という個性とが違うということは、
お分りいただけましたでしょうか?

スパッと分けることは出来ませんけれど、少し別の言い方をしますと、
素の自分といいますのは、真剣な状態の時の自分であり、かつ非常にリラックスした自分であり、
何かしらの行為をしている時に、自分ではなく、
ただひたすら行為だけが浮かび上がってくるような状態なんですね。

ということは、逆に、
一見素であるようなキャラクターを持っているところの自分のままでの演技ですと、
感情の出処が浅く見えがちになってしまうということなんです。
きつい言い方をしますと、頑張ってるなというのが伝わり、感情は伝染しないということ。
(必ずということではありませんよ。)

けれど、やっぱりいわゆる「自分のキャラクターを活かす」ことは、
一般的には大きな武器になりますよね。


自分のキャラクターを活かして、自分を見せるのか?


無色を目指して、表現内容を見せるのか?



自分のキャラクターを通して、表現内容を見せられるようにするのか?


無色での表現を通して、結果、自分が現れるのか?



ちょっと話がそれてきている???
キャラクターと素の自分の話ですよね。。。

途中でお話しましたけれど、舞台上でキャラクターを演じる際に、
自分が無色でないということは、キャラクターの色に濁りが生じ、
自分の色が強いほど、演ずるべきキャラクターが曖昧なものになっていってしまいますよね。

そこに持ってきて、キャラクターを頭で設計しただけで、身体に落とし込めていなければ、
もう、キャラクターでも何でもなく、
それは演じている本人も心で「これは違う!」って感じると思うんです。

キャラクターとは、(頭で設計するにしても)
素の自分や、一見、素であるようなキャラクターを持っているところの自分、
そういった自分とは違った身体の状態になってこそ。


その方が、キャラクターの凄みが出ると思いません?
役によって、全く違う人物になる(見える)!

普段の自分のキャラクターを活かしたキャラクター作りなど、
それぞれの考え、スタイルはあるでしょうけれど、
「素の自分、ただただ人間って、何だろう?」と考えてみるのは、悪くないと思うんですよ。


・・・う~ん、、、「内面重視での演技・・・身体はどこに?」一連のお話、
まとまったのかどうか、怪しいところですけれど、
舞台とは無縁の一般の方も、この「素の自分」について考えてみますと、
普段の自分が何を演じているのか、そのことで、どんな身体になっているのか?
あるいは、自分の身体が自分の内面、行動にどういう影響を及ぼしているのか?
いろいろ見えてくるところがあると思うんです。

私はこのマイムを通して、身体から心にアプローチするという方法を手に出来たことを、
とても幸せに感じています。
ひとりでも多くの方に役立って、その方が幸せを感じて下されば、
私の幸せは倍増ぉ~~~っ!という感じなんです。


皆さんの心と身体に平和を



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マイムから心と身体の平和を


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