力を抜く、脱力が大事だとはよく言われますね。
けれど、言うは易し行うは難し。
言葉の簡単さと比較して、実現が難しすぎる、その要因は、
リラックスという言葉に置き換えても、大体同じようなことですけれど、
力を抜くとは、適切な力が入っている状態にするということだからです。
力を抜きましょう、脱力しましょうと言われるのと、
適切な力が入っている状態にしましょうと言われるのとでは、
全く印象が違いますでしょ?
「適切な力が入っている状態に」って、皆目見当がつきませんよね?
それが出来たら苦労しないわけですから。
そこで、今回のお話は、どうしたら適切な力が入っている状態になれるのか?です。
力を抜き方ではなく、力の入れ方ですね。
さて、ここで大切な大きな問題です。
力を入れるのと、力が入っているのと、その違いは分かりますでしょうか?
「力を入れる」
「力が入っている」
これは、単なる言葉の違いではありませんで、身体的に全く違う状態なんです。
まず、そもそも力みとは何か?と言いますと、
余計な力が入っている状態です。
余計に力を入れているわけではありません。
つまり、無意識に、自分の意志とは無関係に勝手に力が入ってしまっているのが力み。
もう一方は、自らの意思で積極的に力を入れている状態です。
何かするときは、必ず力が必要になりますから、必要そうな力を自らの意志で積極的に入れつつも、
そのとき、無意識に、自分の意志とは無関係に勝手に不必要な力が入ってしまうわけです。
とこのように、力みが何か?を見ますと、「力を入れる」と「力が入っている」の違いは分かってくるのではないでしょうか?
では、適切な力が入っている状態になるには、力を入れたらいいのでしょうか? それとも力が入っている状態にすればいいのでしょうか?
答えは、実はすでに書いてありまして、「適切な力が入っている状態」という言い方をしていますように、決して「適切な力を入れている状態」ではないんです。
力を入れるのではなく、「入っている」にしたいんです。
言い換えますと、自らの意志で積極的に適切な力を入れるのではなく、無意識に、自分の意思とは無関係に勝手に適切な力が入ってしまうようにしたいということなんです。
そんなこと出来るの??
だと思います。
無意識に適切になんて、それが出来たら苦労しない!って言いたくなりますよね。
もちろん、出来るんです。むしろそうでないからこそ、常に適切ではない力が入ってしまうんです。
どういうことか?
色々と動いている最中に、どの時点でも適切な力加減って、自らの意思で可能だと思えますでしょうか?
全くもって不可能ですよね。
自動操縦的に、野生動物のように、身体が勝手に力加減を調整してくれませんと、どうにもならないんです。
昨日の肩甲骨のワークで、
「私、お腹のこの辺りに力を入れるのが苦手なんですけど、勝手に入ります。」
と発言された方がいました。
といったように、身体といいますのは、必要なこと(ここでは肩甲骨の位置みたいなものの調整)をしてあげますと、勝手に必要な力が入るようになっているんですね。
それを無視して、体幹は大事だからなどと、自らお腹に力を入れてしまったりしますと、身体の使い方のスタート地点で間違ってしまうわけです。
適切な力加減にはなり得ないということですね。
力を入れるのではなく、力が入っている状態といいますのは、間違っている場合には力みとなりますけれど、
肩甲骨などの骨格の調整に伴って生じる場合には、良い状態と言えます。
(その勝手に入ってしまう力を抜いてしまうと、調整した骨格の位置関係が崩れてしまい、維持できなくなります。)
今回のお話の主題であった「適切な力が入っている状態」とするには、このように、基本的には骨格の位置関係の適正化が、ひとつ大きな鍵になるわけです。
力を抜く、脱力が大事とはいえ、力に注目してしまうと難しくなってしまう理由もはっきりしましたよね。
最後に。
骨格の位置関係の適正化といいましても、いわゆる良い姿勢ということではありませんし、色々と動いている最中に、どの時点でも適切な位置関係を維持し続ける必要がありますので、理解を深めることとと身体的な訓練が必要なことは言うまでもありません。
少なくとも、このような理解の下で運動やエクササイズ、日常生活をしていただければと思います。
アートマイム新作2本。
次回は12月13日(金) 大型企画です!!