跳ねられるか?
落下できるか?
西洋のスポーツ・ダンスは
「跳ねる」身体が生み出したもので、
日本の武道・踊りは
「落下する」身体が生み出したもの。
そんな風に考えていいと思うんです。
「落下する」とは、
支えを外した時、重力のままに落ちる
ということですから、
原則、垂直線に重なるような姿勢での動きになり、
動き出しは力感が無いほど
良いはずですね。
一方、
「跳ねる」とは、
踏んだことによって生まれる反力で動く
ということですから、
原則、どの方向にでも、たわんでは伸びる動きになり、
動き出しの噴射的パワーが強いほど
良いことになりますよね。
「腰を入れる」
というのがありますけれど、
これは、落下する身体であってこそ
意味をなすのだと思うんです。
そもそも、今の日本人は腰を入れるということができません。
私も、日本舞踊を習い始めた頃
もう20年以上前、
パントマイムをやめて、アートマイムを学び始めて
間もない頃ですが、
腰が入った状態で踊るということは
非常に難しかったんです。
今の若い人や外国人が着物を着て
様にならないのは、
腰が入っていないからですけれど、
腰を落とすとか、膝を曲げる
ということではないので、
訓練を積まなければ出来るようにはならないんですよね。
腰を入れていますと、
バネが生じづらい身体になります。
常に「落下の準備状態」といった感じです。
この身体での動きは、
重力をいかに味方につけるかが鍵になります。
ですから、脱力は極めて重要です。
この、腰を入れるのとは逆の状態
「腰を高く保つ」ことは
ランニングでは非常に重要なことになっています。
ランニングは今では日本人でも
普通に行なうことですけれど、
明治時代の頃まで一般的日本人は
今の私たちのようには走れなかったらしいんです。
確かに「腰を入れた」まま走るって、
想像できます?
無茶っぽいですよね。
忍者にしかなりません(笑)
この身体で、
重力を利用して走れるようになったのが
飛脚など、一部の特殊な人たちだと言えるのでしょうね。
今のランニング方法で
腰を高く保てと言われるのは、
本来、バネを有効利用するためのはずです。
姿勢を良くするといった程度の認識では、
単に窮屈な姿勢をキープすることになり、
かえって上手く走れませんので、
注意が必要です。
さて、「走る」という動きは
あらゆるスポーツ・武道・ダンス・踊りにとって、
一番土台となる身体の使い方です。
重心の素早い移動ですからね。
その走るという動作が、
「跳ねる」身体と「落下する」身体とでは、
全く異なる動きになるわけです。
今の日本人にとりましては、
日常生活の様式や運動体験が
ほぼ「跳ねる」向けにも関わらず、
言葉を始めとするリズム感や
箸茶碗での食事など、
根深いところでは「落下」なんですよね。
まともに跳ねること落下することも
出来ない身体
になりやすいんです。
そのような身体での
スポーツ・武道・ダンス・踊り
どうなるか?ということですね。
さあ、どうしましょう?
また、お話していきたいと思います。
※下記のワークショップで、「ジャンプ教室」は跳ねられる身体になれますし、
「重心移動」は飛脚的走りが出来るようになりますよ。