体を動かすというのは、
ほぼ、重心の移動ですよね。
いかに上手に重心を移動させるか?
いかに早く遠くまで移動できるか?
ただ部屋の中を歩くのですら、
重心の移動ですし、
走るという重心移動も、
スポーツ、ダンスにも通じるわけですから、
効率の良い、重心移動は
誰にとっても重要なことですよね。
では、「跳ねる」身体と
「落下する」身体とでは、
どちらの方が、効率的だと思われますか?
これは、求めるもの・状況次第です。
なんだか身も蓋もない答えですけど、
これを理解しておきませんと、
視野が狭くなり、
偏狭的に「こっちの方がいい!」と
なってしまいかねません。
スポーツと武術の関係って、
外野から見ている限り、
なんだかこんな感じがします。
ダンスの場合ですと、
どちらかに特化することで様式美を
(バレエと日本舞踊の違いのように)
前面に打ち出すのか?
気にせず個人の特性に任せるのか?
(伝統様式をベースにしない)
に、なるような気がします。
ちなみに、身体演技である
アートマイム/オーガニックマイムの場合、
「跳ねる」と「落下」のどちらも
意識的に使いこなせる必要があります。
なぜなら、それが生命の体現になる
と考えるからですね。
で、それはさておきまして、
重心の移動を
どちらの身体で行なうか?です。
チーターのように爆発的なスピードが必要な場合は、
「跳ねる」身体が合っています。
ただし、あっという間に
疲れてしまいます。
(チーターの全力疾走は、400mくらいまで)
一方、「落下する」身体ですと、
スピードは落ちるものの、長時間持ちます。
なにせ、筋力の使用量が少ないですからね。
ところで、ここでいう「スピード」は
あくまで計測できるものでして、
格闘技・武術系、あるいはサッカーやバスケットボールなど
相手を撹乱するといった意味になりますと、
変わってきます。
「跳ねる」ですと、一瞬踏み込むために
相手に察知されやすいんですよね。
「落下」ですと、踏み込みがないので
相手は不意を突かれやすいんです。
では、パワーの面ではどうか?といいますと、
「落下」では、ほぼ体重が限界と考えて良いと思います。
「跳ねる」では、バネの力(スピード)で体重を超えることができます。
ただ、「落下」の場合、
不意を突かれた相手からしますと、
たとえ体重程度でも、相当なダメージになると思います。
ダンスなどの表現面で考えますと、
「跳ねる」ですと、躍動感を出せる一方、
重たさや、うるささを感じさせてしまうことも。
(「踏む」がために)
「落下」ですと、静けさ・幽玄さを出せる一方、
躍動感に欠け、地味でエネルギーが内にこもることも。
さて、
多くの日本人は
西洋的な「跳ねる」身体ではなく、
基本は「落下する」身体です。
ただ、その落下でさえも、
もはや出来ていない身体ではあるのですが・・・
今は、それはそれとして、
「跳ねる」がベースになっていない身体で
跳ねるのに必要な、
腰を高く保つということ、
見た目だけ真似しましても、
機能はしないんです。
バレエの「引き上げ」も同じだと思います。
日本人の身体は落下方向にあるために、
西洋的な動きをするには、
逆方向の身体にしなければなりません。
重要なことは機能するかどうか?
なのですけど、
なぜか、(と言いますか)どうしても
見た目を問題にしてしまいますね。
これでは、身体は壊れてしまいます。
(無茶をしているわけですから)
ありがちなのは、
「落下」の身体のまま
膝の屈伸運動で「跳ねるもどき」
にしてしまうこと。
それこそ、どっちつかずの身体になってしまいます。
私としましては
「跳ねる」身体での走り、
「落下する」身体での走り、
どちらも一度体験してみることをオススメします。
※下記のワークショップ、「ジャンプ教室」は跳ねられる身体で、
「重心移動と肩甲骨」「膝の力みと恐れ」は落下で
走ることが出来るようになりますよ。