外人が着物を着ますと、何とも「さま」になりませんよね。違和感がありますでしょ?
けれども、今の時代の私たち日本人も、同じだと思いませんでしょうか?
手足が長くなってきている、という見た目の問題もありますでしょうけど、決定的に違いますことは、
立ち方。
といいますか、立ち姿。
重心の位置が、着物を着るための位置ではないんですね。
今はみんな、高くなってしまっているんです。
私も、もちろん例外ではありませんで、10年以上前に日本舞踊を習い始めた頃、
お師匠さんとの決定的な違いは、立ち姿
だと思ったんです。
踊りはもちろん、首振りでありますとか、ポーズみたいなものは置いておき、そんなことよりも何よりも、
立ち姿。
これを何とかしないことには、どうしようもないな、と。
現代日本人は頭でっかち(本当の大きさではありませんよ)なためなのか、それとも、学校教育(あの胸を張った、気を付けーっ!の姿勢)のせいなのか、重心(意識)が上の方にあるんですよね。
着物姿で一番大事なのは、安定感だと思うんですけど、重心が上の方にありますから、不安定も不安定。
そのせいでしょうか、帯も決まらない。
で、重心が上の方にありますと、帯を締めていることが、苦しいでありますとか、違和感がありますとか、とにかく落ち着かない感じがすると思うんです。
どうですか?
ところが、腰とか肚に重心が落ちてきますと、この帯が、実に心地いいんです。
どっしりとさせてくれるんですよね。
帯を締めることによって、自然に重心が落ちてくるということもありますけれど、ぎゅぎゅっと締めている時から、既に気持ち良~くと言いましょうか、身が引き締まって、心が静かに落ち着いてくるんですね。
で、この姿勢と気持ちがベースにありませんと、着物を着ましても、それは洋服を着ているのと、なんら変わりはありませんから、はたから見ますと、着物が着物に見えなくなってしまうんです。
着物がその人の皮膚であるかのように、しっくりとしている人と、どこか着物が浮いてしまう人といるのは、そのあたりにあるのかしら?と。
外人の着物姿がおかしいのは、単純に手足の長さではないのでしょう。
日本人が逆に、ドレスやタキシードが似合わないのも、同じですね。単に背格好の問題ではないんです。
重心の位置。
「日本は肚、西洋は胸」といったところでしょうか。
和装、洋装、それぞれの身体性からきているわけですけど、現代日本人は、重心が肚でもなく、胸でもなく、どこにあるのやら???になってしまっていますから、
(地に足の付いていない日本人の姿が、まさにここにあるわけで・・・大変、大変。。。)
着物を着るということは、着付けのことではなく、大変なことになってしまっているんですね。
立ち姿でこの状態ですから、歩こうものなら、あらあら、もう大変っ!
日本人の身体(と精神)はどこへ行ってしまうのかしら?・・・かしら?