お芝居をされている方にとって、セリフというのは切り離せないものだと思います。
とは言いましても、最初から最後まで、ず~ぅっと喋りっぱなしということはないでしょう。
セリフの無い状態で、舞台上にいなければいけない時間というのは、かなりあると思うんです。
セリフがあったとしましても、場面によりましては、セリフよりも、動き・仕草の方が重要なこともあるでしょう。
お芝居をされている人が、何人かクラスに参加しているのですけど、その中のひとりの人が、自分の劇団員(?)に稽古をつける際、マイムの演技術が非常に役立っている、という話をしてくれたんです。
その人も、別にそんな風に役立てるつもりで、マイムをやり始めたわけではありませんから、
「ああ、こんなことを学んでいたんだなぁ・・・。」
と、思わぬ効用に驚いているようでしたね。
で、その演技術とは?
ですけど、これはポーリッシュマイム特有とも言える、けれど、「あぁ、なるほどぉ・・・確かに!」と思える、汎用性のある演技術なんです。
ポイントは、リズム・間のとり方です。
ただし、個人の感性任せのものではありませんで、そのベースとなります、普遍的な、誰もが共通して学べるものなんです。
まぁ、だからこそ、教えられるんですけどね。
リズム・間をとる上で、最も重要なことは、
「区切り」です。
これは思考の区切りとも言えまして、例えば、
「窓を開けて外を見る」という例をとって、みてましょう。
まずは、ちょっとその場でご自分で、やってみて下さい。パソコンの前で、座ったままで結構です。
「窓を開けて外を見る」
どうですか?どんなことを意識しながらやりましたか?
1. 窓を認識する
2. 窓に手を触れる
3. 窓を開ける
4. 窓から手を離す
5. 身を乗り出す
6. 見る
少なくとも、これくらいには分解して、それぞれをきちんと意識(認識)しながら、動いていく必要があるんです。
こうして分解されたものを見ますと、なんて当たり前なことを、と思われるかもしれませんけど、これを知らずに「窓を開けて外を見」ますと、
極端な例では、1つの動作になってしまいますね。
せいぜい2つです。開ける。見る。
どうでしたでしょうか?
この1つとか2つという、少ない認識での動きでは、観客には何も伝わりません。(理解は出来るかもしれませんけど、感じられない。)
これを、「君の演技には、窓が見えてこないんだよなあ。」みたいなことを、言われましても、どうしたらいいのか、分かりづらくありませんか?
窓があると思い込むしかない・・・大変です。
ポーリッシュマイム演技術のおかげで、他人に演技指導をする時に、話が早い、とそのお芝居関係の人は言っていました。
自分が出来る出来ないとは関係なく、「どこか、おかしいんだよなぁ・・・」ではなく、「どこそこがおかしい。」
と分かり、さらに、どうしたらいいのか、言葉で伝えられるので、稽古の時間が短くなるとのこと。
マイムを表面的なテクニックだけで捉えず、こうして活かしてもらえますと、本当に嬉しいですね。