オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

上手になると辛くなる?

ふつう、何かの練習をしていますと、上達すれば楽になりますでしょ?

ところが、JIDAIマイムクラスでは、逆なんです。

初心者のほうが楽で、上級者のほうが大変になるんです。

これは、もちろん同じ内容の練習で、ですよ。
なにも、初心者には簡単なことで、上級者には難しいことをさせてというのでは、ありません。

なんだか変ですよね。
出来るようになればなるほど、大変になる・・・

腹筋運動50回行なうとしまして(私のクラスでは絶対にしませんけど・・)、ふつう、やり馴れた人のほうが楽にできるでしょうし、ダンスのターンなんかも、上手な人は楽々こなすと思うんです。

それが、ここのクラスでは逆。
何故なんでしょう?

簡単に言いますと、腹筋運動50回がめいっぱいの人と、300回でも出来る人がいたとしまして、このふたりに、腹筋運動を5回してもらうんですね。
もちろん、どちらの人も、楽々できますでしょ。
300回も出来る人にしましたら、数に入らないくらいでしょう。

けれど、その5回の中で50回なら50回分の、300回なら300回分のパワーを出すようにするんです。

分かりづらいかもしれませんね、言い方を変えまして、50回がめいっぱいの人は30キロの重りを持って、一方300回出来る人は100キロの重りを持って、それぞれ5回の腹筋運動をするんです。

どうです?
同じ5回ですけど、どちらの人も同じくらいの辛さになりますよね?
けれど・・・そう、もちろんまだ、これではどちらの人も大変ということであって、初心者が楽で、上級者が大変ということには、なりません。

ところがこれはマイムの練習なんです。つまり、その重りは架空なわけでして、これがミソなんですね。

重りは架空。

初心者は架空の重りを作れないんです。
それに対して、上級者は、その架空の重りの重さを、すごく重く出来るんです。

重そうに見せる、というのとは違います。
もちろん重そうには見えますけど、見え方ではなく、明らかに重くなるんです。
(以前しました、このあたりの重さ・体重の変化についてのお話、覚えていらっしゃいますでしょうか?)

ですから、同じ練習内容でありながら、初心者は上級者を見て、

「何があんなに大変なんだろう?・・・?」

ということに、なるわけなんです。

簡単な誰でもできる動作であればあるほど、この差は顕著です。
たとえば、腕を下に降ろすという動作なんて、動きが簡単なだけに、大変な状態にしづらいですものね。

けれど、今まで「?」だった人が、ある時「ぁあっ!これかぁぁ!」となるわけで、その繰り返しで徐々に上達していくんです。

自らを追い込んで、より重く!・・・なんですね。