オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

演技の得意な人は、読まないで下さいね。

演技が得意な人と苦手な人がいますでしょ?
得意な方は、この先を読むのは時間が無駄になってしまいますけど、
苦手な人って、特に、感情を表現することに対して、壁があったりしませんでしょうか?

嬉しくもないのに喜んだり、悲しくもないのに悲しんだり、可笑しくもないのに笑ったり・・・
できるわけがありませんよね?

無理して演技すればするほど、気持ちが遠のいていきますよね?

分かります!
私もそうでした。

独りでマイムを始めた頃はもちろん、ポーリッシュマイムを習っていた最初の頃も、
そんな感じでしたもの。

独学で勝手にやっていた頃は、自分の出来ることしかやりませんから、
まだそれほどの問題はありませんでしたけれど、
きちんと習うようになりましてからは、いろいろと演技させられるわけで、
楽しいフリをしたり、疲れたフリをしたり、可笑しいフリをしたり・・・
あぁぁぁ、、、演技しながら、穴があったら入りた~いっ!っていう気持ちでしたね。

けれど、ポーリッシュマイムの身体と呼吸の関係が身に付いてきた頃から、
徐々にその違和感が小さくなってきたんですよね。

ポーリッシュマイムでは、イリュージョンテクニックと感情表現とで、
その身体や呼吸の使い方が共有されているんです。


は???

なんのことやら?という感じだと思います。
私も習い立ての頃は、よく分かりませんでした。

教えてもらう際に、その同じなんだということを見せてもらってましたから、
理屈ではそうなんだろうと、納得せざるを得ないんですけど、自分の身体では到底分かりませんから、
う~~~~んん・・・となってしまっていました。

ところが、分かってきますと、実に理に適ったものでして、
どんどん感情表現に対する苦手意識が消えていったんです。

むしろ、今では感情表現が楽しいくらいなんですよね。

普段では、決して味わえないような深い悲しみや、悦び、怒り、憔悴感、恥じらい・・・などなど、
楽しくて仕方ありませんのです。

ジェットコースターに乗って、
「ぎゃあぁぁぁーーーっ!!!」って、ストレスを発散するようなものですね。

自分がこれまでの人生で経験したことの無いような心を、体験するって、
面白いものですよ。


で、何故これまでの人生で経験したことの無いような心を、体験できるのか?
といいますと、
感情を呼び起こす、そのやり方に特徴があるからなんです。

何かイメージして気持ちを呼び起こしたりするのではなく、
身体と呼吸と空間に対する意識の仕方から、感情を呼び起こすんです。

「イメージ→身体」ではなく
「身体→イメージ」という感じです。


ですから、先日の『マリアと天使のように?』のように、あり得ない状態になれるんですね。

こうなりますと、演技・感情表現に対する違和感や照れがなくなりますから、
動きも無駄がなくなってきます。

そして、当然のように、観ている人にもきちんと伝わるようになります。
ありがたいことです。

で、さらにありがたいのは、演技の心に嘘が小さくなってきますと、
イリュージョンテクニックまで飛躍的にスキルアップするんです。
何せ、身体と呼吸の使い方が同じですからね。

重たいものがより重くなり、軽いものはより軽く、
壁も、触らずとも、よりリアルに壁を表現できるようになります。

演技面でもテクニック面でも、表現の幅が広がってくれました。

私は天性の役者ではありませんから、
ポーリッシュマイムの身体と呼吸の使い方無くしては、到底存在し得ない存在なんです。
ありがたや、ありがたや。