北京オリンピック400mリレーで日本男子初のトラック競技でのメダリストになった
朝原宣治選手、
覚えていらっしゃいますよね?
その朝原選手が書いた『肉体マネジメント』(幻冬舎新書)の中に、
「感覚のスイッチ」
という言葉が出てきまして、これをとても大事にしていたようなんです。
たとえば、こんな風に書かれています。
『感覚の「再現性」ということを書きましたが、再現させるのは、体のこの部分を意識して、こう動かせばいいというコツのようなものがあります。それが「感覚のスイッチ」です。
一発屋の選手はスイッチの押し方をわかっていないのでしょう。たまたま何かの拍子でスイッチを押して記録が出てしまった。でも、どうやって押したのかがわかっていない。
それを自分の中できちんと確立しておかないと、再現することができないのです。』
これは感情表現でも全く同じなんです。
感覚という言葉を感情という言葉に置き換えて考えますと、わかりやすいですね。
『感情の「再現性」ということを書きましたが、再現させるのは、体のこの部分を意識して、こう動かせばいいというコツのようなものがあります。それが「感情のスイッチ」です。・・・・・それを自分の中できちんと確立しておかないと、再現することができないのです。』
ここで、「ん!?」と思われるかもしれません。
感情の再現をするのに、体を動かすコツが大事なの?って。
そうですよね、感情を再現するのなら、何かイメージするのではないの?ですよね。
イメージ・・・もちろん大事ですね。
ところが、納得しづらいかもしれませんけれど、私JIDAIが考えますに、もうひとつ大事なのが体なんです。
感情といいますのは、体の変化です。
体内部の変化です。
ずっと以前から私のお話を聞いて下さっている方は、ご存知だと思います。
一般的に嘘っぽい演技といいますのは、この感情のスイッチを押すことなく、感情を表現しようとすることが原因なんです。感情の再現が出来ていないということですね。
そうしますと、どうしたってオーバーアクションに頼ってしまったり、感情を爆発させる風な演技に頼ってしまうわけです。
では、この「感覚(感情)のスイッチ」をどこに置けばいいのでしょ?
オーガニックマイムでは呼吸と脳(あるいは頭蓋骨)をメインに、目の奥、眼球、黒目、鼻の奥、口の奥(軟口蓋)その他いろいろと使っていきます。
もちろん、最初のうちは上手く一体化したものとして扱えませんけれど、徐々に慣れてきます。
私も元々感情表現は苦手でした。どうしたってわざとらしくなってしまいますし、自分で自分の感情表現に嘘を感じていますから、いたたまれない気持ちになってしまいますものね。
で、克服すべくスイッチを編み出したわけです。
とまぁ、そんな「感情のスイッチ」の押し方をクラスでは(主に「真呼吸クラス」で)伝えていっているわけですけれど、今週末に控えました試演会<JIDAIオーガニックマイムな夕べ>に向けまして、出演者みんな、非常にいい感じでスイッチの押し方を体得しつつあります。
嬉しいですね。
私が嬉しいのはもちろん、本人が一番嬉しいと思っていると思うんです。
体中に大袈裟ではなく、感情を溢れさせるというのは、このことなのね!
って、自分自身が納得出来るんですものね。
本番が楽しみですね。