「あなたを殺します。」
言えますか?
裁判員制度で初の死刑求刑だそうですね。
裁判という制度を使って人を殺す・・・殺すという決定をした人が手を下すわけではありません。
人を殺すという感触や時間を味わうことを前提とせずに、人を殺すという判断、出来ますか?
もし自分の家族や愛する者が無惨な殺され方をしたとして、もちろん、犯人を殺したい気持ちにはなるでしょうけれど、それは単に犯人が死ねばいいということではなく、もっと残酷なやり方でないと・・・と思うんです。
もし、安楽死のような形で苦しむこと無く、穏やかに絶命されたのでは、さらに憎悪が募ると。
つまり犯人の肉体的な死を望んでいるというよりも、精神的に追いつめた末の死を望んでいる。
もっと言ってしまえば、とりあえずの静けさを取り戻すために、こちらの煮えたぎった怒りのエネルギーを爆発させたいわけですから、悪魔と化して非人道的なやり方であればあるほど望ましいはず。
犯人よりも、もっと悪魔になる必要があるわけです。
私はそうなるかもしれません。
感情としては。
けれど、理性で考えますと、こんなことは何も生み出さないばかりでなく、自分の内なる悪魔を呼び起こしてしまい、悪魔に乗っ取られてしまったという事実が、永遠に自分を苦しめることになると思うんです。
悪魔にまでなったのに、永遠に何も生み出されない空しさ・・・
何のために犯人を殺すのか?
感情で向かうのか?
理性で向かうのか?