オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

骨で動く

『走ったり、投げたりしている人間を描こうとすると、
まともに動いているように見えるには骨を描くしかないのです。』



山中俊治氏の「デザインの骨格」(日経BP社)の中に出てきた言葉です。



”骨”・・・そうなんですよね~。



例えば、思いっきりボールを投げるというのを、スローでやってみよう!
ということになったとしまして、一般的には、動きを大きくするだけでなく、
どうしても力んだ感じを表そうとしてしまいます。


これはパントマイムのようなことをしている人でも全く変わりません。


野球などをしている人でも、よほど意識的に動いている人でないと、やはり同じような感じだと思います。


動きの特徴としまして、身体のあちこちが棒のようになってしまう、ということが挙げられます。
特に顕著なのが投げる側の腕でして、肩を支点として棒を振り回すような動きになりやすいんです。



こういった動きは、山中氏の言葉にありますように「まともに動いているようには見え」ないんです。
ロボットのような感じになってしまうんですね。
動きが見えてこない。勢いが見えない。止まっているように見える。というわけです。


(実はこれ、スローで投げる動きをしている本人が、一番よく感じているはずでして、「これじゃぁ、投げられないよなぁ。。。」)



では、まともに動いているように見せる、勢いを感じさせるにはどうしたら良いのか?というのが、
骨を描く、つまり骨の配列を考えて動くということなんです。




投げるという動作を筋肉で考えるのではなく、骨の動きに置き換えるといいんです。


スローで動いたときに「力んだ感じを表そうとしてしまう」のは、パワーを筋肉で考えているからなんですね。
思いっきり投げるというパワーを、筋肉の頑張りで考えるのではなく、
エネルギーの流れ、ここでは骨の配列として考えるといいんです。


骨の配列の変化が、全身でいかにスムーズか?変に止まっているところはないか?
ということを考えられますと、格段に動きが良くなります。




これは、言うは易し行うは難しでして、動きの最初から最後まで満足に動くというのは、
至難のワザかと思います。


とくに私たちマイムでは、本物以上にエネルギーの変化を強調しなければならない面がありますから、難易度はどうしたって上がってしまいます。


もちろん、こんなことが出来なくとも素晴らしいマイムをする人はいますから、どうでもいいと言えばいいんですけどね。



でも、楽しいですよ。
動きというものの本質的なことが分ってきます。
いろいろと他に応用しやすくなるんです。


しかもそれだけでなく、自分の身体を動かすことの精度が上がりますし、
頑張っている姿を見せるという表現ではなく、表現そのものを伝えやすくなります。




例えばマイムでよくあります、「重い物を押す」際に、
骨を知りませんと、力んだ姿や辛そうな姿を見せることになりますけれど、
骨が分りますと、重いということだけを表せます。


・・・?


かもしれませんね。
重いということは、重いというだけで、辛いかどうかは別の問題ですよね。
重いからといって必ずしも辛くはないでしょうし、軽々と重い物を押すこともありますでしょ?
そいうったことを、きちんと表現できるようになるんです。



マイムのような表現でなくとも、普通にスポーツなどをされている方でも、このような骨の配列の変化を考えてスローで動くのは、とてもいい練習になると思います。


お一人では難しいという方は、ぜひ<オーガニック!! レーニング>を。



そうそう、最近、クラスのみんなの動きがよくなってきました。
骨で動けるようになってきていますね。
これからが楽しみです。




マイムから心と身体の平和を

オーガニックな(生きた)カラダに  http://jidai.mond.jp/