前回の体幹と指のつながりのお話の中の、
ペットボトルを持つ時にどの指を使うか?ですけれど、
私たち身体表現者はこういうことを大事にしていきたいと思うんです。
舞台上で、実際に何かを持つ持たないということだけでなく、
あらゆる動きにかかわってくるからなんです。
でもまずは、一番分りやすいところで、
マイムでコップを持つとき(つまり実際には持たない)、
どの指で持つ意識でいるか?(どの指にエネルギーを注ぐか?)で、
美しさが変わってきてしまうんですね。
美しさを目指していないとしましても、どの指か?
で力みの現れ方が変わってくるんです。
違った指にエネルギーがいってしまいますと、
演じている本人が不快に感じるはず。(潜在意識でかもしれませんけれど・・・)
これは、本人が潜在意識であっても不快に感じていることは、
やはり観ている人に不快として伝わるんですね。
これは間違いないんです。
もちろん、観ている人も気がつかないかもしれません。
潜在意識でしか感じていないかもしれません。
けれど、身体は確実に同じ不快感を共有してしまうんです。
このあたりのことは、実感しづらいかもしれませんね。
でも、お話を続けましょう。
次に、何かを持つような動きではなく、
例えば、バレエのようにきれいに腕を広げていくような動きの場合、
これなども同様でして、
よく「指先まで意識して」と言われると思うんですけど、
どの指をどう意識するかで美しさに違いが出てきてしまうんですね。
違った指にエネルギーを注いでいますと、どうしても力みがちになってしまうので、
柔らかい感じにするためには、力を抜くしかなくなってしまうんですけど、
そうしますと当然全体のエネルギーが小さくなってしまいますから、
物足りない演技(動き)になってしまうんですね。
それは、やはり本人が一番感じるはずなんです。
ただ、優しく(易しく?)動いているだけになってると。
で、先生に「もっと、しっかり!」って言われてしまいますから、
そうしますとどうしたって力むしか無いわけです。力んで硬い動きになってしまう。
で、今度は「力を抜いて!柔らかく!」って言われて、、、堂々巡り。。。
では、逆に、力んだ感じの、
例えば、握りこぶしを作って「う~~~っ!!!」ってする演技(動き)、
そんな時はどうするか?
こんな時は、なんとなく、思いっきり力を入れればいいような感じがすると思うんですけど、
やはり力みたくないんです。
本当に力むことと、力んでいるように見せることは分けて考えたいんですね。
リアルであることと、リアリティーがあることとの違いを大事にしたいわけです。
で、力んだ感じで握りこぶしを作る時ですけれど、
私たちは握りしめてしまうことは基本的にありませんで、
手の中や指の間に空間を残しつつ、しっかりと指には力を入れていくんですね。
その時、やはりどの指に意識を持っていくかで、
力みのような充実感を力まずに味わうようにしていくんです。
(もちろん、観ている人も味わえるます。)
なんだか、???かもしれませんよね。これはもう、経験してもらうしかないかなぁ。。。
とまぁ、こんな感じでですね、
演じている本人も観ている人も、身体的な不快感を感じないようにしながら、
力んだ演技を美しく創り上げていくわけです。
さて、いくつか例えを出してお話してきましたけれど、
柔らかく美しい動きも、力んだような演技も、さりげない動作も、
力むことなく、力が抜けることなく、エネルギーは注がれているようにしたいですから、
どの指をどう意識するかは、常に大事にしていたいということなんですね。
それは、体幹、背骨とのつながりにかかわってきて、
つまりは全身で動けているかどうか?になるから。
いわゆる全身運動というものとは、全く違う、全身での動作であって欲しいわけです。
このように、体幹と指のつながりは、
スポーツ的にパワーを発揮することに関してだけではなく、
身体表現の美しさにも大きな影響があるものなんです。
ですから、私たちオーガニックマイムにとって、
また、
体幹に関するお話、終わりませんねぇ。。。
マイムから心と身体の平和を