オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

演技、身体・・・天賦の才に恵まれている方は読まないで下さい。

内面の状態を身体でつくることを、受け付けられるかどうか?


生理的に無理なのか?それとも、信念みたいなものがそうさせるのか?
は分かりませんけれど、
これは、前回のお話ともつながりますが、
身体の使い方に目を向けられるかどうか?
と同じような反応がありますね。




先日、外国から団体で研修のために来日していた俳優の方とダンサーの方が、
クラスを体験受講されました。

ダンサーの方は理解しようとしていまして、クラス生との演技のやり取りも良い感じでした。
一方、俳優の方は残念ながら、理解が難しかったのか?
クラス生との演技のやり取りは、決して下手なわけではありませんけれど、
自分本人だけが悦に入った全く独りよがりのものでした。
かなりのベテランのようでしたが(ベテランだけに?)、演技しているのが伝わるだけ。。。


恐らく自分の気持ちを大事にしているのだと思います。
身体のほうに意識を持って行けないんですね。
いえ、
むしろ身体のほうに意識を持って行くことを、無意識に拒否している
のだと思うんです。




前回のお話の、力んでいるほうが力が出るように思ってしまうのと同じです。

実際の力を出す際に、身体の使い方に意識を向けることで力が出るようになることを認めるのは、

これまでの自分を(自分の考え方や努力を)否定するようなもの。

しかも、当然、本人は力んでいるとは思っていないわけですし、
筋力が強ければそれはそれで、押せてしまうんですよね。
身体の使い方が良い悪いに関係無く、筋力が強ければ結果が出てしまうことがあるんです。




表現に関しましても実は、それと同じようなことがあるんです。


例えば、自己主張の強い感じの人ですと、
見ている側にどん!と押し込んでくる感じがして、
強い印象を与えることができてしまうんですね。


そして、見る側もそのほうが良いと思ってしまう場合が多いんです。
演技力があるように思ってしまう。




それは、スポーツを見ていて、頑張ってる感の強い人の方を好きになってしまうのと、
似たような感じだと思うんです。


もちろん、そのことが悪いというのではありません。
むしろ、受け手側としては、それはそれで自然な気持ちだと思うんですね。



ですから、演技でもスポーツでも、結果が伴えば、好んでくれる人が多くいるなら、
良いとか悪いとかは余計なお世話なのかもしれない。


そんなこともありまして、内面の状態を身体でつくることも、身体の使い方に目を向けることも、
ある意味やる気の強い人ほど、難しかったりするんですね。




そしてさらに、どちらにも言えるのですけど、

「何かずるいことをしている」

ような気持ちになることもあるようなんです。




以前、演技でのある雰囲気をつくるのに苦労している女性に、
身体で内面をつくる方法を伝えてやってみてもらったところ、


「あ、この感じだ!」


って、すっと出来て、納得のいく雰囲気になったという自覚があったようなんです。



ところが・・・ところがです。


「これで、出来てしまっていいのかなぁ。。。」




気持ちは分かります。
散々、どうしたらいいか悩んできたのに、、、内面の状態をつくり込んだわけではないのに、、、
求めていたものがあっさり出来てしまうって、
やっぱり、ちょっとずるいことをしている気持ちになってしまいますよね。



けれど、美味しい料理を食べて、その味を再現しようと、
何のヒントもなく、ただひたすら自分の感覚を信じて作り出そうとする。
それはそれで尊い行為ですけれど、レシピを参考にするのは悪いことでしょうか?


初めての曲の演奏を聴いて再現する時に、楽譜を見ることはずるいことでしょうか?



レシピがあれば、それなりにプロの味も再現できますけれど、
同じレシピでも人それぞれの味になるように、また、レシピがマニュアルではないように、
内面の状態を身体でつくることも、効果的な身体の使い方をすることも、
そこが到達点ではないんですよね。
そこをベースに、自分のものにしていき、さらなる高みを目指す。
それは、絶対に必要なんです。




私は自信も能力もありませんから、徒手空拳では立ち向かえません。レシピも楽譜も必要です。
けれど、それらに使われるのではなく、使いこなす。まるで元々知っていたかのように。
それは、



深遠な演技で、空間ごと見ている人を巻き込みたい。


自分というものを消し去ることで、見ている人が自分のことのように感じて欲しい。


身体の使い方に則っとることで、精度の高い力を発揮したい。


年齢を重ねるほどに、いい動きが出来るようになりたい。



という気持ちがあるからなんです。




さて、内面の状態を身体でつくる云々ですけれど、

演技派で知られる女優、大竹しのぶを追いかけるドキュメンタリー番組

の中で、
こんなシーンがありました。


舞台本番中、次の出番(シリアスなシーン)を待つ大竹しのぶ
舞台袖で、普段と変わらぬおしゃべり(笑いながら)をしています。


役柄に入るための準備、集中の時間は必要無いのですか?


「舞台に出た瞬間に身体(血?)が変わるから、必要無い。」




随分前の番組でしたので、細かな言葉はうろ覚えではありますけれど、
演技と身体の関係に対して非常に自覚的でいることに、驚きを覚えたと同時に、
やはりそうか!
と確信を深めた瞬間でした。



身体の使い方と同じで、自分に問題が生じないうちは、考え方を変えるのは難しいと思います。
けれど、もし、これまでの取り組みで思ったような成果が出ていないようでしたら、
これまでとは違ったアプローチをしてみて損はないと思うんです。



例えば、私のレッスンを受けて、やっぱりこれは違うなと思えば、そ
れはそれで今後余計な道を選択しないで済むようになるわけですから、
大きな成果を得たことになりますよね。


もちろん、初めから違うことを確認するつもりでは、真の判断は出来ませんよね。
指導を仰ぐ際は、妄信してはいけませんけれど、絶対的な信頼を寄せる必要があります。
本気で身につけようという姿勢が必要です。



演技も身体の使い方も、
一部の天才的な人たちは自然に身につけていることです。

天才でない私たちは、意識的に身につける必要がある。


そして、身につけることが出来る!



身につけたいと思う人を、本気でサポートしたいと思っています。







Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!




マイムから心と身体の平和を


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