オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

演奏家が演奏している姿を見せるのではなく、音を聴かせ、音のエネルギーに巻き込むように。

舞台に立っている人物(登場人物)が何をしているか?


を見せるのではないのです。




一般的に、舞台上で上(例えば、空)を見るという行為をするとして、
それは「この人物が上(例えば、空)を見た」ということを伝えるためですね。


(どういう気持ちを込めるか?は、プラスアルファの情報なので、今回は無視して下さいね。)



ですから、目線を上にあげれば、基本的にはいいわけです。



これ自体は、誰でも出来ますよね?


ですから、表現といいますと、先ほどのカッコ内のプラスアルファをすることだと思われがちです。
例えば、嬉しそうにとか、寂しそうにとか、気持ちを加えるというように。




・・・と、いきなり何の話???だと思うのですが、
お芝居はもちろん、バレエでもダンスでも演じるということは多い
と思いますので、
マイムの演技について知っていただくと、何かに役立てていただけるのではないかと、、
今回のお話です。




先ほどの一般的な演技に対しまして、オーガニックマイム(アートマイム)では、

上方に空間を生み出すことが大事になります。

(どういう気持ちを込めるか?というのはやはり、プラスアルファの情報になります。)



もちろん、上を指差すといったようなことではなく、あくまで上を見るという行為を通じて、です。


動き自体は、一見するとそれほど一般的な動き方と大きな違いがあるわけではありません。



ですから、観客の側からしますと、どちらの場合も
「登場人物が上を見た」
という情報を得ること自体に変わりはありません。


情報としては、それで間違いないのです。




言い方を変えますと、



「上を見るという行為を見せる」一般的な演技の場合、
「登場人物が上を見た」という情報を伝えることで、
その動作の役割は果たされたことになります。



「上方に空間を生み出す」オーガニックマイム(アートマイム)での演技の場合、
その動作が「登場人物が上を見た」という情報を伝えるだけではないということです。






同じような1つの動作で、

情報だけを伝えるのか?

情報以外のものを生み出すのかどうか?

ということなのです。






この「情報以外のものを生み出す」とは何か?





オーガニックマイム(アートマイム)が目指すのは、

観客を演者と同じエネルギー場に巻き込む

ことです。





つまり、登場人物の行為を見せるのではなく、


登場人物の行為を通じて、


空間の変化


(この場合でしたら、上方に空間が生まれ、その広がりや質量のようなものを、
まるで登場人物が感じているのと同じように)


を感じてもらうことなのです。





この、「情報以外のものを生み出す」が無い動作を、
オーガニックマイム(アートマイム)ではジェスチャーと呼びます。



ジェスチャーとは情報だけを伝える動作ということですね。
ですから、一般的な動作での演技ではジェスチャーになってしまいます。)




上を見れば、上を見たことは誰にでも伝わりますが、
同じように上を見る動作で、空間を変化させエネルギーに巻き込む。



これは、似て非なる行為です。




人が何をしているか?を見せるのではなく、

いかにエネルギーの変化に巻き込むか?




上を見上げれば、上を見たということは伝わりますが、
上方に空間が生み出されるわけではありません。




最初にも申し上げましたように、
どんな気持ちで見上げるか?ということは、また別のことになります。
それは、登場人物の気持ちを伝える行為であって、
空間を生み出す行為とは分けて考えるべきものだからです。





では、具体的な動作の違いとは?



先ほど、「それほど、動き方に大きな違いがあるわけではありません。」と言いましたけれど、



実は、全く違うのです。




この違いを文面で伝えることは困難を極めます。。。


それでも、あえて言うならば、上を見上げるだけでしたら、目や首の単純な動きで十分ですが、
空間を生み出す場合は、一見、同じようでありながら、もっと複雑な動きになります。
ある意味、全身の動きになるのです。
(大袈裟という意味ではありません。)




前者は、自分の身体を動かす行為です。
後者ももちろん、自分の身体を動かしはしているのですが、自分の動きが主役ではないのです。




オーガニックマイム(アートマイム)が無言芝居ではない理由に1つがここにあります。
何度も言いますが、舞台に立っている人物(登場人物)が何をしているか?を見せるのではなく、
舞台に立っている人物(登場人物)の行為を通して、
空間のエネルギーの変化を体感してもらうのです。





演者は身体を動かすのではありません。


空間のエネルギーを動かすのです。





観客に観てもらうのではありません。


観客に同じ体験をしてもらうのです。





一般的な動きは、「私」が主役の行為です。


オーガニックマイム(アートマイム)は、「私」を消す行為です。





マイムは「何も無いところに何かを生み出し」ますが、
それは


「私」が主役で、自分の身体を動かしたのでは、実現出来ないのです。




自分の身体を動かしているうちは、観客は当然、演者の身体の動きを見てしまいます。
演者の「私」を見てしまいます。




ですから、普遍的な身体、動きが必要になります。


エゴの入った動きは、雑音になります。邪魔になります。





もちろん、機械的に動くということではありません。


全く逆です。



全身が有機的に、普通の人間以上に生物的な動きです。


だからこそ、普遍的になれ、雑音が消えるのです。




それは、

演奏家が演奏している姿を見せるのではなく、

音を聴かせ、音のエネルギーに巻き込むようなもの。






マイムは、


「私」を超えて、


エネルギーを動かすのです。














Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!




マイムから心と身体の平和を


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