演技をするとき、
具体的なことをイメージするのかしないのか?
29日の『マイミクロスコープ ~夜のアートマイム劇場~』での公開レッスンで、
こんな演技レッスンをしたんですね。
『悩む。素晴らしいアイデアを思いつく。』
終演後に、一般参加下さった女性、お芝居をされているのでしょうか?が質問に来られまして、
「あれは、何か具体的なことを考えているんですか?」と。
私は、
「どうされていましたか?」と聞きましたら。
「具体的なことを考えるようにしていたのだけれど、
思いつくというところに至らないので、
演技としてそろそろ思いついたことにしなければ、という感じでやっていて、
しっくりいかなかった。」
と。
これを読まれている皆さんはどうですか?
お芝居をされている方は、同じように思われる方が多いかもしれませんね。
私はこう答えたんです。
「具体的なことは考えていません。」
「”悩む”というエネルギーに意識を向けているんです。」
どうでしょう?
お分りいただけるでしょうか?
これが例えば、「悲しむ」でも同じことで、
具体的な悲しむべきことを考えながら演技するのではなく、
”悲しむ”というエネルギーに意識を向けて演技するんです。
終演後の短い時間でのお話でしたし、”悩む”というエネルギー、”悲しむ”というエネルギーなんて、
急に言われても、簡単には分からなかったとは思うんですけど、
そんな意識の仕方があるということに触れるだけでも、大きな価値があると思うんです。
演技をする際に、
本当の気持ちかどうか?
これは、とても気になるところですよね。
皆さん、どう考えられますか?
私は思うんです。
演技というのは、よほど即興的なものでない限りは、
ここで悲しんで、ここでは悩んで…といったように、進行が決まっていますよね。
しかも、どの時点で悲しみが癒され、悩みが解決されるかも決まっていますでしょ?
さらに、同じ演目を何日間にも渡って行なったりするわけです。
実生活で考える、本当の気持ちが生まれるわけはない。
もし、これが出来るといいますか、生じるとするならば、強烈に魅力的かもしれません。
赤ちゃんや動物がそうです。
けれど、
それは舞台に自ら立って演技するということではありません。
演技というのは、実生活で考える本当の気持ちとは別の、もうひとつの本当の気持ちが大事なんです。
別のもうひとつの本当の気持ち???
「本当」が2つあるの?と思われますよね。
もちろん、あるんですよ。
それが、エネルギーです。私が度々書いています、普遍的な感情です。
先の女性にもお話したのですが、私たちのアートマイム(オーガニックマイム)では、
そのエネルギー、普遍的な感情をキャッチする練習をしているんですと。
そしてさらに、そのエネルギーをコントロールすることを学んでいくんですと。
これによって、あとから具体的なことがイメージされてきたりするんですね。
悩みのエネルギーをキャッチし自分の身体に通していると、
何か、具遺体的なシチュエーションがイメージされてきたりするんです。
順番が逆なんですね。
もちろん、これはやり方の問題ですから、具体的なイメージを先行させて上手くいくのでしたら、
それでいいんです。
ただ前述しましたように、「実生活で考える、本当の気持ちが生まれるわけはない」と思います。
演技は、嘘を前提としなければ成り立ちません。
舞台に立つということ自体が、おかしいんですから。
その前提である嘘を見ないようにしよう、蓋をしようとすればするほど、
無理が生じるのではないかと思います。
舞台上でキャッチする
”もうひとつの本当の気持ち”である”エネルギー”に
目を向けてみてはいかがでしょうか?
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!