マイムには作品を創るという作業が存在します。
それは、
映画の編集作業であり、
ビジネスでいえばプレゼンテーション。
私のクラスには、マイム表現と切り離した身体のレッスンがいくつかあります。
声のワークもそうですね。
マイム表現のクラスでも、身体(呼吸も含めて)がメインです。
身体と向き合うことで、身体の使い方が良くなる、身体が気持ちよくなる、
健康度がアップするのはもちろん、
これまでの自分の身体に対する接し方が大きく変わり、
そのことで、みんな、モノの見え方や考えた方が変わってくるんですね。
表現技術にも向き合いますと、身体に向き合う人と同様の変化に加え、
空間と自分との関係、感情との関係、なども変わってきます。
対人関係にも影響すると思います。
これだけの変化でも人生にとって大きなことだと思うんです。
ところが、マイムには作品を創るという作業が存在します。
マイムの作品を創るということは、
全く違う作業なんですね。
作品・・・それは構成を作り出すことです。
よくいう起承転結というのも、構成の1つの方法ですね。
よく勘違いされるのですが、
テーマ、思いを込めるかといったことばかりに意識が向いてしまい、
構成が悪いために、全く伝わらないものになってしまう。。
これは、個人の演技とは別に、気持ちは分かるけど、作品として面白くないというものです。
これは作文でも同じでして、ただ時系列に沿って進んでいくものは、作りやすいですけれど、
流れが平坦になりがち。
構成で大事なことは、
どう波を起こすか?
です。
一番大きな波をどこにもってくるか?
そして、その大きな波を、大きいと感じてもらえるような流れを、どう作るか?
大きな波がラストでない場合、その後、どんな流れでラストにつなげるのか?
大雑把にいいますと、こういうことなんです。
全体として淡々といいますか、ミニマル音楽のような作りもあると思いますが、
それでも波は必要です。
むしろ、難易度は非常に高い。
構成がよく出来ていますと、内容が薄くても、楽しめるものになります。
構成がよく出来ていますと、表現力が拙くても、楽しめるものになります。
構成というのは、演者にとって内容や表現力といったソフトというよりも、
ハードウェアのようなものなんです。
映画などでいえば、編集に当たるのではないかと思います。
映画では、予告編のほうが本編より面白いということありますでしょ?
予告編としての編集、つまり構成の力ですよね。
少なくとも、出演者の演技力は二の次。
本編も予告編も、出演者の表現力は同じですものね(笑)
ただ、内容は違って見えます。
ここ、大事!!!
構成次第で、内容が違って見えるんです。
内容といいますのは、テーマと考えてもいいのですが、
それがどんなに素晴らしくても、構成次第なんです。
逆にいいますと、
内容というのは、構成によって浮かび上がるもの。
それくらい、構成は重要なんです。
さて、自分で作品を創る場合、内容というのはイコール、本人の思いになります。
そのため、陥りやすいのが、内容が伝わらないのは自分の表現力が足りないからだ、
と考えてしまうことなんですね。
そうしますと、もっと思いを込めて表現しようとなるばかり。。
けれどそれでは、伝わらないんです。
伝わるのは、その人が一生懸命やっていることだけになってしまうんです。
ビジネスの場などでのプレゼンテーションも、同じではないでしょうか?
構成というのは、演者の表現力を補う、あるいは活かすものであり、
かつ、内容を浮かび上がらせるもの。
表現力や内容は、情熱・感情・感覚といった心の問題が大きいですけれど、
構成は非常に知的なものです。
自分以外の他人が、どう感じるかに敏感でなくてはいけません。
作品を創る際、自分の演じる際の思いを抱きかかえたままにせず、
一旦、冷たく突き放せるかどうか?
マイムには作品を創るという作業が存在します。
この経験には、身体の訓練、表現の訓練では、決して得られないものが詰まっています。
5月28日 『声(音)を体に響かせる〜身体感覚を磨く 第5回』
5月14日 『JIDAIソロ作品上演』
7月開講 『アートマイム塾〜シアターカイ本物の俳優修業シリーズ〜』
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!