オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

段取り演技・未熟・即興とスキル

ゲーム情報学を専門とされる飯田弘之教授によりますと、

ゲーム(遊びでも、試合でも)の面白さは、


不確定性と調和美に秘密


があるようです。






不確定性といいますのは、どちらが勝つのか分からないということですね。



では、調和美とは?ですけれど、その前に。




ゲームには、スキルが大きな要素になるものと、運が大きく作用するものとありますでしょ?



トランプのババ抜きは運ですよね。
同じトランプでも、ポーカーになってきますと、スキルも大事そうです。
スポーツなどの試合では、ほぼスキルですね。



調和美といいますのは、運とスキルの要素が絶妙に絡んでいるということ。




運だけで勝敗が決まってしまうのでは、だんだんやる気がなくなってくるでしょうし、

スキルだけがものをいうのであれば、始めから勝負は決まっていますから、やはりつまらない。




ということで、


運という不安定要素と、

スキルという安定化力が、


いいバランスで働いてくれることが望まれるというわけです。





囲碁などは、非常に高いレベルでの調和美を宿しているようですね。
(もちろん、同じレベルの人同士でのお話。ゲーム自体のもつ本質部分でということです。)





このことを、表現の世界に置き換えてみますと、
前々回に少し触れました


「未熟」への高評価と、

技術蔑視の関係が、


分かりやすく浮かび上がってきそうです。






スキルの足りない未熟な表現は、

見ている側が何だか安心して見ていられないといったような、
不安定さ(ゲームでいう不確定性)が、先が読めないハラハラドキドキを生み出し、
そこに私たちは魅力を感じてしまう。




その究極が、赤ちゃんだったり、動物だったりするのでしょうね。
お年寄りが面白いというのも、こういったことですよね。




一方、技術を身につけたスキルのある人の表現は、

安定していて、それは先が読めてしまうということになり、
ゲームでいえば、運という不安定要素が全く無いということになりますから、
面白くも何ともない。





では、いつまでも未熟でいればいいのか?といいますと、
やはり自然にスキルは身についてきてしまいますから、
それは難しい。





そこで、スキルと無関係でいられるように、

昨今はインプロビゼーション(即興)流行りであったり、
例えば、俳優に台本を渡さず、ただただ環境に放り込んで、
生の反応を引き出すといったものが、多くなるのだと思います。




そういえば、スイスのロカルノ国際映画祭で、日本の映画、
主人公の4人の女性が最優秀女優賞をもらって、話題になっていましたけれど、
その4人とも演技初体験という全くの素人だったそうですよね。





もちろん、インプロビゼーション(即興)でもなんでも、それはそれでスキルがありますけれど、
いわゆるベテラン俳優の安定しきってしまう類いのスキルとは異なりますよね。



安定しきってしまう類いのスキルというのは、
結局、ウソなんですね。

反応がウソなんです。段取りなんです。





本人が段取りではないつもりであっても、

身体にウソがあれば、

それはウソなんです。





段取りでないようにするために、故意に不安定感を生み出そうと、反応のタイミングをずらす・・・
例えば、こういったものも、結局、ウソでして、
ですから、独りよがりのいやらしさが出てしまったりする。





本当に必要なスキル、技術といいますのは、

何度同じことをしても、一見同じでありながら、毎回違えられるということであり、
それはある種の身体の状態であるということ。

(違えられるというのは、違えようとするのではなく、当然のように違ってしまうという意味です。)



それが私の考え。






即興の場で、反応が本当の反応になるのは、当たり前のことですから、スキルではありませんよね。


(そういった場でも、日常的に芝居がかった反応をしていますと、
本当の反応には見えない反応になってしまいますが・・・)





段取りを分かった上で、独りよがりにならない、その場での本当の反応を生み出せる身体。


そんな身体になる術こそ、スキル。






なんだか、分かったような分からないような・・・といった感じだとは思うんです。


だいたい、そんなことできるの???


ですよね。





なぜ可能かといいますと、
段取りは頭(知)で理解することで、
反応のための心・感情などは身体の領域だからなんです。





この身体での表現は、段取り通りでありながら、即興のようなものになります。



ただ、即興の場合は、日常的な(その人の)生の反応かもしれませんが、
ここでいう身体で起こる反応は、そういた生の反応と同じではなくてですね・・・


このあたりは、言葉での説明が難しいのですが、
例えば、段取り通りの表現を、何度も全く同じように繰り返しても、段取りには見えず、
毎回新鮮さを感じる。
本人も観客も。




ですから、
観客は、たとえ次の表現・反応を予測できても、あるいは、知っていても、
新鮮な感覚で楽しめるんです。




良い映画は、繰り返し見ても、同じところで泣いたり笑ったり感動したりしますでしょ?
同じことですね。
映画の中で、俳優が(即興かどうかは分かりませんが)新鮮な表現・反応をしているからです。




ただ、映画であれば、表現者は何度NGを出しても、
1回の新鮮な状態が生み出せれば、それでいいでしょうけれど、舞台ではそうはいきません。




だからこそ、こういった身体になれるスキル・技術に目を向けられたらなと思うんです。





ゲームでいうところの、調和美のある不確定さを生み出せる身体。


場や環境から即興を迫られるのではなく、同じことの繰り返しに、即興の感覚を味わえる身体。


それは、自分で自分に驚ける身体でもあります。




そんな身体、表現に興味のある方は、ぜひ下記ワークショップに。

10月4日の『身体感性を育てる〜身体と想像力〜』は、特にオススメです。





       10月4日 『身体感性を育てる〜身体と想像力〜

                 https://www.facebook.com/events/697397900360960/




  10月8日 『声(音)を体に響かせる〜身体感覚を磨く 第12回』

                 https://www.facebook.com/events/806382676126766/




           10月11日 『原始歩き同好会

                 https://www.facebook.com/events/535548329936080/





  10月18日 『声(音)を体に響かせる〜身体感覚を磨く 第13回』

                 https://www.facebook.com/events/963932987010054/




          10月22日 『エネルギーワーク

                 https://www.facebook.com/events/548493821965625/




  10月30日 『表現者のための呼吸 心と身体のワークショップ

                 https://www.facebook.com/events/721994864595198/





Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!







マイムから心と身体の平和を


ホームページ http://jidai9.wix.com/jidai

Twitter  ORGANIC_JIDAI



日本アートマイム協会

ホームページ http://jidai9.wix.com/artmime