どうも、筋肉信仰か、脱力信仰か、
どちらかに偏ってしまっているように思います。
違う道があるのではないか?
きょうはそんなお話。
この両者、一見全く立場の違う考え方のように見えますけれど、
根は同じではないかと思うんです。
筋肉を使い過ぎるのか、使わないようにするのかという、
いずれにしても焦点・尺度は筋肉の使用量。
アスリート系で目の前の結果を求められる、求める人の多くは、
筋肉の使用量を高めた方がいいという、筋肉信仰になりやすい。
逆に、目の前の結果を求められていない、求めていない人の多くは、
筋肉の使用量を出来るだけ低くしようとする、脱力信仰になりやすい。
そう感じています。もちろん、あくまで私の印象。
脱力信仰の人が増えているように感じますが、
必要な分の筋肉を使えない、使わないようにしているように見受けられます。
筋肉を使うことを、力みとして恐れている、そんな感じさえします。
そのことで、
パフォーマンス到達点が、極端に低くなってしまう。。。
筋肉の使用量を多くするか、少なくするかという考え方だけでは、
戸惑いが生まれるばかりなんだと思うんです。
単純なことですけど、できるだけ遠くまで響く声を出すには、かなりの筋肉を使います。
相当なスピードで走るのにも、かなりの筋肉を使います。
ただ、使う筋肉が違うんです。
パフォーマンス到達点の非常に高い人が、筋肉じゃないんだという発言をよくされます。
そういった類いの人たちと、一般の人たちとでは、
どの筋肉がどの程度、どのタイミングで働くのかという、
全身で見たときの筋出力のバランスが、
全く違うんです。
筋出力のバランスの悪い人には、力を抜けという言い方が、一番簡単なんです。
(きちんと説明すると、ややこしく時間もかかり、理解されないかもしれないので。)
力を抜くことで、無意識に別のところの出力が上がることを期待しているんです。
(例えば、脊柱周りの小さな小さな筋肉たちの出力。)
「力を抜く」というのは、つまり、余計なことをしているから、それをやめなさいよ、
ということです。
ところが、身体を動かすときに、
何かを「する」(筋肉を働かせる)のと、何かを「しない」(働かせない)とでは、
「しない」ほうが、はるかに難しいんですね。
「力を抜く」という、何かを「しない」ことだけをするというのは、本当に大変なことなんです。
そのために、だからこそ、いわゆるボディワークといわれるものは、
微細な動きでのワークになってしまうんです。
筋肉信仰の人には(精神的にも、ある意味、肉体的にも)辛いワークとなる?
さて、私も筋肉の使用量は、出来るだけ低いほうがいいとは思ってレッスンしているのですが、
受講生には筋肉の使用量の多い少ないという観点とは、
違った観点に立って欲しいと思っているんです。
最近ようやく、いい言葉を見つけました。
「張力」
です。
字のまんまですけど、張る力。体を張る力です。
以前は、「膨らます」という言い方をしていました。
けれど、張力のほうが、守備範囲が広く、いい言葉だと思います。
張る力、張力と筋力の違いですが、
筋力の場合は身体が縮む方向に働き、張力の場合は伸びる方向に働きます。
伸びるといいましても、ストレッチと違うのは、
ストレッチの場合は一方向ですが、張力の場合は全方向です。
「膨らます」という言い方の方が、やはりピンとくるかもしれません。
ただ、手の平など、場所によっては、「膨らます」では分かりづらいことがあるので、
「張る」のほうがいいなと思っています。
脱力信仰の人は、筋肉を使わなさ過ぎのために、
この張力が弱く、パフォーマンス到達点が上がらない。
筋肉信仰の人は、本来なら張力を生み出したいところを、
筋力と勘違いしてしまい、縮めて固めてしまう。
そして、実は張力を活かそうとする教えは、何も私のオリジナルではなく、
昔から言われているんです。
例えば、ピアノ。
「手の平で卵を包むような形にする」というのは、そのひとつです。
武術・格闘系でも、やはり手指の形に細かな注意があります。
手指の張力は、身体全体の張力につながるからですね。
(これは、どなたも腕立て伏せで実感ができます。)
ただ、これらの教えを、張力との関係を意識して伝えることが少ない(知られていない)ために、
もうひとつ有効活用されていないように思います。
筋肉信仰全盛期を経て、その揺り戻しとして脱力信仰があるのだと思いますが、
張力に目を向けることで、見えてくるものがあるのではないでしょうか?
6月12日 『動作塾』(6月のテーマ「ピッチング・サーブ」)
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(刀の扱いから、身体の使い方とエネルギーの伝わり方を学ぶ)
7月17日
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7月3日 『声(音)を身体に響かせる〜自分の内を外へ広げる』
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Body,Mind&Spirit
本当の自分の身体は天才だ!