身体は硬いのは良くない。
柔らかい方が良い。
本当にそうでしょうか?
いえ、まぁそうですよね。
基本的には、そうだと思います。
けれど、以前、治療家(施術家)の方から聞いたお話がありまして、
それは、ヨガなどをしている人で、
筋肉が硬く、靭帯が伸びてしまっている人がいると。
靭帯といいますのは、骨と骨をつなぐ関節の動きを上手く制限するための
超強力なゴムバンドみたいなものですね。
その靭帯が伸びてしまいますと、関節が緩くなりますから、
グニャッと柔らかく動けますよね。
つまり、ヨガに限りませんけど、ストレッチ系のことをする際に、
筋肉の力が抜けずに、むしろ力を入れて、関節をグーッと無理に伸ばす動きをしてしまっているわけです。
別に、こんなお話もあります。
踊りをされる方で、とてもよく動ける。
ヨガのどんなポーズも、なんてことなく出来てしまい、何に良いの?くらいだったそうなんです。
柔らかい人ですよね。
にもかかわらず、怪我が絶えなかったらしいんですね。
そんな中、ある踊りに出会って、これやりたい!!となるんですけど、
なぜか全く出来ない。
他の踊りをしている時には考えられないような転倒などの失敗すらしてしまう。
これ、どう思われますか?
この踊りが特別難しいんでしょうか?
ヨガポーズを難なくこなせる柔らかさと、他の踊りでも難なく出来る能力があるのに、対応できないって。
そんな超人しか踊れない踊り??
その人は気がついたらしいんです。
自分がアウターばかり使っていて、インナーが使えていなかったことに。
靭帯が緩く筋肉が硬いという、治療家の方の言う人と同じタイプかどうかは分かりませんけれど、
何か似たようなものを覚えませんか?
(ちなみに、この方はその後、徹底的に身体の使い方を見直して、
その踊りの分野でトップレベルになっているとのことです。)
もう一つ、これは私のところに以前通っていた方です。
その方はヨガの先生をしていて、私のクラスで取り上げる柔軟性を要するような姿勢は、
やはり難なく出来てしまうんです。
一方で、動きとなりますと、ほとんどの動きが出来ないんですね。
先ほどの踊りの方と似たものがあります。
ここまで読まれて、どう考えますか?
ヨガを悪く言っているのではありませんよ。
ヨガにどう取り組むか?ですし、
体の柔らかさのお話をしますと、ヨガはその代表格ですから、外せないということです。
冒頭の「身体は硬いのは良くない。柔らかい方が良い。」って、
そんな簡単なものではないというお話です。
また、これもいつも言っていることになりますけれど、
エクササイズ自体が好きでやっているなら、
体を壊してでもやりたい!好き!と言うのは、全く良いんです。
それは、趣味なんですから。
最初の靭帯が緩く筋肉が硬くなってしまっている人も、
だからヨガはダメというのではないんです。
もちろん、一般的には体に良いこととしてヨガをすることが多いでしょうから、
その点、大丈夫ですか?ということです。
柔らかければ、なんでも良いわけではないということは
感じ取ってただけたのではないかと思います。
身体は柔らかさと同時に、しっかりしていることも必要です。
筋肉に力を入れてしっかりさせることも出来ず、かつ靭帯もゆるゆるでは、動けませんでしょ?
といって、
柔らかさとしっかりさを兼ね備えているようでも、
アウターばかりが強いと、踊りの方のように、
かなりのところまで、それはそれで対応出来てしまうけれど、ケガはつきものに。
あるいは、選手生命は短い。
身体はどこかが強く働き過ぎると、どこかが働かなくなります。
身体はその人の価値観の、生き方の表れ。
何をしたいのか?
どうなりたいのか?
ですね。
新著
●第1章 バネを利かせる! 地面反力
●第2章 敏捷になる! 股関節の抜き
●第3章 腕に螺旋エネルギーを通す!
●第4章 脚に螺旋エネルギーを通す!
●第5章 触れ方の質を上げる!
●第6章 想いを伝える、届ける!
●第7章 日常生活で動きの質を上げる!
次回アートマイム公演 3月27日