エネルギーを通すって、どういうことでしょうね？
私は、流れが止まらないことというのは重要なポイントだと思うんです。
レッスンの場では、しばしば壁を押してもらうことがあるんですけど、
（マイムの見えない壁ではなく、リアルな壁ですよ 笑）
エネルギーが通っていますと、壁と床が自分を通して一体化したような感覚になるんです。
壁と床が私の身体を通して行き来している感じです。
これが、いわゆる力で押してしまっていますと、
一方通行だったり、自分の中にエネルギーが留まってしまったりに。
ところで、壁を押すといったような力を出す際には、
自分の体がぐにゃぐにゃではなく、しっかりとしていてもらう必要がありますでしょ？
で、そうなりますと、つい体を硬くしてしまいます。
しっかりすることと、硬くすることは違うんです。
壁を押すことは単なる一例でして、多くの人が力を出そうとして体を硬くしてしまうんですね。
立ち上がろうとして硬くし、
掴もうとして硬くし、
演奏しよう、歌おうとして硬くし、
みたいな感じですね。
硬いものは丈夫そうですけど、脆さがあります。
脆いといいますのは、ある時点で割れてしまう、折れてしまうといったことです。
どれだけ硬いダイヤモンドでも、割れます。
一方、ダイヤモンドより遥かに硬さの劣る鉄は、基本割れません。
ダイヤモンドは曲げられません。
鉄は曲げられます。
人間の体は硬い骨と柔らかい筋肉で出来ていますでしょ？
（かなり大雑把な話ですけど）
柔らかい筋肉だけでもないし、硬い骨だけでもなく、両方で機能していますよね。
つまり、力を出す際に、「しっかり」を担うのは骨なんですけど、
骨だけでは脆いので、筋肉によってその脆さをカバーするわけです。
（これも、かなり大雑把な話ですけど）
ところが、多くの人が柔らかい筋肉をギュッとさせて硬くすることで
しっかりしようとしてしまうんです。
それが力みで、だからこそリラックスとか脱力と言われるのですけど、
しっかりしていなければ力は出ませんから、脱力出来ないんですよね。
で、力みとはいえ、長年ある部位をそうやって使っていますと、
柔らかいはずの筋肉が硬くなってきます。
（筋肉だけでなく、腱や靭帯もガチガチになるのだと思われます。）
そうしますと、しっかりしてくれるものですから、
意外に力を発揮してくれるんですね。
それも、ほぼ筋肉を使っている感じのないまま強いので、
本人は楽なんです。
なんだか、良さそうではありません？
そう。
ところが、その部位が硬いことで役立つ動きはいいのですけど、
そこが柔らかく動く必要のある動きになりますと、
その硬いところを曲げようとするような力が働くわけですから、
割られるような感じですよね。
硬い分、脆いですから、「これ、絶対無理！！」となる。
諸刃の剣ですね。
体をしっかりさせるに当たっては、骨の位置を筋肉が常に微調整をしていくことが重要です。
骨が動かないようにガチッと固めるように筋肉を使ってしまいますと、
筋肉自信が硬く骨のようになり、強そうでいて脆い体になってしまいます。
エネルギーの通りの悪い動きになってしまうということですね。
エネルギーを通すとは流れが止まらないことと、冒頭で言いましたけれど、
流れは柔らかい筋肉でないと作れません。
その筋肉が硬い骨になってしまっては、流れが堰き止められてしまいます。
ただ、この筋肉を骨化した体が、必ずしも悪いわけではありません。
例えば、職人さんは長年の作業によって、ある部位が変形してしまっていることはよくありますでしょ？
で、特に健康に害もなく、むしろ仕事がしやすくなっている（ある意味、エネルギーを流れやすくしている）わけですから。
エネルギーの通りを、さまざまな動きで実現したいのか？
ある特定の動きだけで実現できれば良いのか？
どうなりたいか？ということではありますね。
新著
●第１章 バネを利かせる！ 地面反力
●第２章 敏捷になる！ 股関節の抜き
●第３章 腕に螺旋エネルギーを通す！
●第４章 脚に螺旋エネルギーを通す！
●第５章 触れ方の質を上げる！
●第６章 想いを伝える、届ける！
●第７章 日常生活で動きの質を上げる！
次回アートマイム公演 3月27日
