味わうことが一番の栄養だ!
食べ物の話ではありませんよ。
いえ、食べ物もそうだと思います。
体にいいとか悪いとか選別したり、栄養が足りないからとサプリメントで補ったり、
それ自体がどうということではありませんけど、
味わうということが、一番体の栄養になるのではないかと思うんです。
で、食べ物のことはそれとして、やっぱり身体。
私、これまで16年くらいマイムや身体の使い方を教えてきているのですけど、
同じように熱心に通ってきていても、身についていく人と、なかなか身につかない人と、
その差は結構大きいなぁと思っているんですね。
特に身につきづらいのは、私のところ以外でマイムをしている人たち。
逆に、ほとんど運動経験はありません、というような人の方が、
はるかに身につきやすい傾向があるんです。
まぁ、もちろん、他でマイムをしていても順調に身につく人もいるでしょうし、
運動経験の無い人みんなが身につきやすいというわけではありませんで、
大雑把な傾向ということではあります。
私のマイムのクラスはマイムテクニックの練習よりも、
根本的なといいますか土台となる身体の使い方の練習の比率が非常に高いので、
他でマイムをしていることが有利になることも、不利になることも無いとは思うんですよ。
ですから、どうしてかな?と、
単に他でやっていると身体も頭も混乱するからかな?とか、
運動経験が無いと素直だからかな?とか、ぼんやり考えていたんですけど、
ふと、冒頭の言葉が浮かんだんです。
味わうことが一番の栄養だ!
どうも、身につくのが早い、あるいは飲み込みが早い人というのは、
自分の身体に起きていることをきちんと味わっているのだと思うんです。
逆に、遅い人は、頭で考えていて味わっていない。
分りやすいのは、練習中の動きに対して、
気持ちいい~っ!!
って、思える頻度の高さ。
あるいは、
気持ち良さを探り出そうとしているかどうか?
それはたとえ、きつい練習であってもです。
そのきつさの中に、気持ち良いポイントを見つける。
これをしている人と、していない人とで、
すごく大きな差が生まれている気がするんですよね。
集中力があるとか無いとか、それとは違うんです。
身につくのが遅い人の集中力が足りないというわけではないんです。
むしろ、そういった人も、凄く集中していたりします。
ひと言でいえば、考え過ぎ。なんですね。しかも、部分に集中してしまう。
しかも、分析してしまうのだと思うんです。分析ばかりして、味わわない。
味わえていないものは、栄養にならないんです。
もちろん、もともと栄養たっぷりなことを私は教えていますから、多少は栄養にはなりますけど、
相当もったいないことをしているんです。
それに対して、味わうというのは、常に全体ありきで、
部分と全体を行ったり来たりしながら、複雑に感じ取ることなんだと思うんです。
分析ではないんです。(味わっていることを前提として、分析出来ているのかもしれません。)
ですから、気持ちいい~っ!ってなるんですよ。
しかも、しっかり深く味わうには集中力が欠かせません。
食事でも、自分の心の内でも、本当に味わおうとしますと、自然と一人の世界に入ってしまいますでしょ?周りをシャットアウトしてしまうはずですよね?すごい集中です。
それは、自ずと沈黙の中で。
(マイムが何を大事しているか?ということと繋がってきますね。)
ちょっと話がそれますけれど、この味わうことの重要性は、
身体のことだけでなく、感情表現といったことでも同じでして、
自分が感じていることを味わうことが重要なんです。
感情表現なんていいますと、感情的になることだと思われやすいのですが、全く違うんです。
さて、私のクラスでは、肉体的にかなりきついこともするんですけど、
そんなとき、私はよく言うんです。
身体はきつくても、気持ちはきつくなる必要ないんだよ~。
って。
そうなんです、
気持ちがきつくなると、身体を味わうことは出来ません。
感情的になると、感情を味わうことは出来ません。
味わうというのは、ある意味、受け身です。
能動的に自分の身体を動かしながら(感情表現しながら)、受け身になるというのは、
言葉にするととても難しそうですけれど、
味わうために身体を動かすと考えるといいかもしれません。
ぜひ、味わって下さいね。