誰でも、その人だけの世界を持っていると思うんです。
けれど、その世界を、容易に表に出せなかったら・・・
あるいは、
そんな世界を持っていると気がつけていなかったら・・・
これは、意外に（意外ではない？）
生き苦しいのではないかと思うんです。
もし、生き苦しさを感じていなかったとしましても、
世界を表に出す経験をしますと、
この世での自分の在り方に変化が生じます。
私は身体表現が人生になっていますけれど、
そういった表現欲は、皆無だったんです。
ところが、
アートマイムという表現技法と
出会うことで、
自分の知りたい世界を探求し、
その見ている世界を表現するようになり、
かつ、
他者と共有出来るようになったんです。
（他者と共有といいますのは、
作品が届いたなという手応えですね。）
アートマイムでなく、
小説でも音楽でも絵画でもダンスでも
可能だったかもしれません。
けれど、私の才能は
ごっこ遊びの延長であるマイムによって、
花開いたわけです。
花開いたというより、
アートマイムの技法によって
自分の世界を深めることが出来たんですね。
ちなみに、
マイムはマイムでも、
パントマイムではダメだったんです。
自分の世界を何によって深めるのか？
世界を元々強くしっかり持っている人は、
そのぴったりくる技法を探し、生み出すでしょう。
一見、世界をそんなに持っていないようであっても、
ある技法と出会い、習得することで、
自分の世界に気づき、深める喜びが生まれるでしょう。
自分だけの世界を、誰もが持っていて、
自分だけの世界にも関わらず、
他者と共有でき得る。
この不思議なことを経験できると、
いわゆる表現者として生きていかなくても、
表現者であり、
この世での自分の在り方が違ってくるでしょう。
誰もが、その可能性を持っている。
私たちは、自分の世界を掘り下げるために
生きているのですから。
先日、アートマイム塾第三期が終了しました。
塾生５名は『脈』という私JIDAIの世界を
観客の皆さんと共有出来るだけの力を備えて
舞台に立ち上げてくれました。
『脈』（作・演出 JIDAI）
この地球上で脈々と続く、生と死を併せ持った様々な形の生命。
その全てが私であり、同時に、私はその一部に過ぎない。
今度は、それぞれの世界を立ち上げるでしょう。
自分だけの世界を深めていくと、
他者の深いところで繋がる。
一人でも多くの人が
自分だけの世界を表に出せますように。
新著『「動き」の天才になる！』 7月下旬発売！
