オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

自分に意識を向けるのは良い?悪い?

先日、歌や演技を学んでいる人が、

それぞれの先生から

 

「歌っている最中、自分の声を聞いてはいけない」

 

演技では、「自分を見ないで、相手に集中しろ」

 

と言われているという話を聞きました。

 

 

 

歌っている最中、自分の声を聞いてはいけないというのは、

私もどなたかのサイトで、

見たことがあります。

 

 

演技のお話も、分からないことはありません。

 

 

けれど、

これは正確ではない

と思うんです。

 

 

どちらも、自分に閉じることなく、

受け手に届かせることが重要ということのはず。

 

 

それは、決して

自分の声を聞かないことでも、

自分を見ないことでもありません。

 

聞かない、見ないをしたからといって、

受け手に届くわけではありませんでしょ?

 

相手に集中しても、同じことですね。

 

 

 

確かに、歌でも演技でも

ついつい自分が上手に出来ているかどうか?

に意識が向いてしまい、

受け手の存在が薄れがちになりやすいですよね。

 

ですから、その意味では、

自分に意識を向けるな!というのは、

あながち間違いではありません。

 

 

ですけれど、達成したいことは、

 

受け手に届けること!

 

 

受け手にどう届くか?のために、

何をするか?

何が出来るか?

です。

 

 

その際、自分の声を聞く、見るということは

非常に重要になります。

 

 

 

それを、能の世阿弥

「離見の見」(りけんのけん)

として、重視したわけです。

 

 

 

そこで、冒頭の先生ですけれど、

演技の先生は「離見の見」否定派とのこと。

 

 

私は、

世阿弥が言うのだから受け入れろ!

とは、思いません。

 

否定することがあっても

全く構わないと思うのです。

 

 

けれど、

このところ毎月開催しているワークショップの

「瞑想の目」

を経験している方でしたら、誰もが納得出来ると思うのですが、

 

 

外に意識を向けながら、

同時に、自分を(普段以上に!)把握出来ている状態というものが

あるんですね。

 

 

 

一般的には「普通の目」ですから、

外に意識を向けますと、

ただ外に意識が向かい、

自分を見失っている状態になってしまうんです。

 

 

この演技の先生は、自然と「瞑想の目」をしているのかもしれません。

ただ、そのことが意識にのぼっていないので、

外に意識を向けているだけだと、

感じてしまうのかもしれません。

 

こういったものは、

ご本人に聞いても、きっと分からないと思います。

 

だからこそ、

『「動き」の天才になる!』

を書いたわけですけど・・・

 

 

 

まぁ、それは置いておきまして、

 

自分を見失う(ような)状態こそが、良いことだ

という考え方もあるでしょうから、

それは、それでいいのですが、

私は、自分の状態を把握し続けることこそが重要だ

という考えです。

 

 

ですが、

「把握」の本当の意味を理解するには、

例えば、「瞑想の目」の体験などが必要なんだろうなと

思うのです。

 

いずれにしましても、他者の言葉を理解するのは

容易ではありませんね。

 

 

 

 

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