西洋風の身体の使い方では、重力に対して筋肉のバネで対抗することによって、身体を軽やかにしようとしますね。
一方、和の身体は逆に重力を利用し、無重力状態を作ることによって、身体を軽やかにするように思います。
オーガニックマイムでは見かけは西洋風にしながら、内実は和の方法を使っているということが多いんです。
なんだか矛盾したものを同時に行うなんて、無理なような気がするとは思いますけれど、イメージ的には下半身と上半身を分けて使う感じなんです。
おへその辺りを境にしまして、下半身は和で上半身は洋の使い方をするのです。
これは力まないということと、力んでいるように見えることを同時に成立させるためなんです。
お聞きになったことのある人もいると思いますけれど、アニメの宮崎駿氏が
と言っているんけれど、まさにその通りなんです。
和の身体の使い方、捻らないということも含めまして、いわゆる筋肉の躍動性を隠した動きでは、一般的には動きを感じてもらえないのです。
ですから、動きや力感を感じてもらうには、どうしても西洋風の身体の使い方を見せる必要があるんです。
で、実際に身体を動かす際には、力まないほうが良いのはどなたでもご存知だと思いますけれど、マイムでは力んでいるように見せる必要が多く出てきます。
そんな場合でも、決して筋肉自体を力ませることなく、力を発揮しているように感じてもらうには、観ている人の無意識レベルには重さを感じさせながら、顕在意識レベルには力み、つまりは筋肉の躍動感を見せていくわけです。
この重さを感じさせるということを、オーガニックマイムでは非常に大切にしているものですから、そのために和の身体の使い方、無重力を利用するんです。
あまり細かな技術的なことはちょっとおいておきますけれど、無重力を使うためには、落下が必要なんです。
その落下によって重さを作るのです。
最初に「下半身と上半身を分けて使う」といいましたのはこのことでして、下半身だけ落下させることで重さを作りつつ、無重力で軽くなってフリーな上半身で力んでいるかのような形を作るんです。
またこの辺りの話をしたいですね。