身体の使い方を学ぶとは、
様々な筋肉の力の入れ具合の調整力を学ぶ
ということでもありますけれど、
声帯も筋肉でコントロールするんですよね。
（声帯自体は、筋肉ではありません。）
少し前にお話したことがありますが、
これは、私には厄介な課題です。
声を音として身体に響かせるという
ワークショップを、おかげさまで
プロのボイストレーナー、歌手の方からも好評で、
もう何年も続けてこられています。
けれど、私には、
声帯のコントロールに関しては、
これまで頭になかったんですね。
ですから、ここ１年くらい
能の謡、ゴスペルを通じて
歌というよりも、
音程の変化に言葉を合わせる
ということを探りながら学んでいます。
元々、歌をされている方ですと、
私の声のワークで、
歌声が格段に上がり、
喉にも全く不安がなくなるという
嬉しい感想が届きます。
けれど、
私は生来、音楽への関心がほとんどなく、
歌の方も、音痴だと思っていたものですから、
そうは簡単にはいかないのですね。
まず、子音が大変なんです。
子音は、響かせられない音なんです。
響きが出せるのは、あくまで母音。
ですから、言葉として発しようとしますと、
「音」の響きが減り、
喋るときの「音声」に近くなってしまうのです。
その上、音程の変化となりますと、
これは、かなり細やかな声帯のコントロールが必要になります。
子音をきちんと発音しつつ、音程をつけ、
良い響きにするのは、
本当に手探りの試行錯誤の連続です。
それでも、子音には
硬口蓋が重要なことが分かってきて、
第一難関突破といった感じで、
今は本格的に、声帯のコントロールに着手です。
声帯も、
まぁ、まさに、
トライ＆エラーです。
とはいえ、
初めのころに比べますと、
格段に成果は上がっていまして、
（あくまで自分比です…笑）
こういったコントロール力が
ほぼゼロだった時には、
能の謡の抑揚や、強さ柔らかさなどは
全く不可能に近く、
ですから、
場面状況や内面状態の表現などというものは、
やりようがなかったんですね。
ただ大きな声で平坦にしかならないわけです。
それなりに表現しようとしますと、
いやらしいと言いますか、
なんだか下手な朗読にしかならず…
これは、身体表現でも同じなのだろうと
思いました。
表現を可能とする
土台のコントロール力がないと、
気持ちの込めようがないのです。
込めてしまうと、
鼻についた
あるいは、安っぽい
表現になってしまうんですね。
そんな状態のままで、
（そうじゃない！もっと気持ちを！などと）
ダメ出しをされて頑張っても、
よほどのセンスの持ち主でない限り、
本当の自分の感覚に嘘をついて
要求されるものに近づくことになり、
（本当は近づけていないと思うのですが）
混乱していくのだろうと思うのですよね。
仮に、その場はしのげても、
自分の力になっていないめ、
応用・発展は難しいだろうと思うのです。
それにしましても、
謡・歌を始めるまでは、思ってもみなかった
自由に歌えるようになったら、
楽しいだろうなぁと、
歌の上手な人を見ては、思うようになっているのでした。
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