何かを学び始めたら、
早く上達したいですよね。
けれど、
その場しのぎ的な、いわゆる
「コツ」
だけで、そこをクリアしてしまいますと、
地の力がつきませんから、
応用発展が難しくなると思うのです。
ところで、先日SNSでも挙げたのですが
それまで自分なりに試行錯誤してきていますと、
たった一つのことで、
大きく変わりますね。
合気道をされている女性。
『月間秘伝』での私の連載記事をきっかけに
ワークショップに参加してくれるようになった人です。
先日のワークショップ
に参加後、
そのまま合気道の稽古に行くと、
一番弟子の高段者の方から
「すっごく合気あげ上手くなった。」
「技の見方もいいし、出来ないときの修正の方法もいい!」
と。
さらに
「今日の稽古メンバーの中で一番見込みがある。」
と。
このワークショップは
「飛脚片走り」
をメインとしたものです。
合気道の技自体は取り上げていません。
もし合気道をやっていても、
自分で試行錯誤してきていませんと、
単に、このワークショップ内での上達で
終わってしまいます。
けれど、“重心移動”がテーマですから、
自ずと通ずるものがあります。
もちろん、このワークショップで
走ることが、驚くほどに軽くなっても、
原理が分からなければ、
他への応用は極めて困難だと思います。
それだけ
「え?! どうして??」
と思ったままに、
走りが軽くなってしまうからです。
そこに、
なぜそうなるのかの
原理を伝えることで、
ただのコツではなくなるわけです。
この女性は、
動きの原理を
頭と体で理解できたために
飛躍的に上達したんですね。
それも、当日中に!
ちなみに、このワークショップでは、
サッカーやバスケットボールなどにも使える
体当たり的な
「寄せ」
についてもお伝えしました。
強さと安定感の違いに
みなさん驚かれていました。
お話を戻しますね。
このような単発のワークショップで
良い感覚を得られることは
重要ですよね。
けれど、それがその場限りの
“良い体験”で
終わってしまうのか、
コツが分かったで
終わってしまうのか、
それは
受け手の問題意識次第という面はあるものの、
動きの原理を
こちらが伝えるかどうかは
大きいと思うのです。
(伝えない方が、不思議体験を求めて
何度も足を運んでくれるかもしれませんけどね。)
こんなメールをもらったことがあります。
「JIDAI先生のお稽古は習って満足だけでなく、
継続的に自分でお稽古出来る方法を会得するものなので、
落し込むまでに時間かかりますが、
そのあとはいろんなことに活用出来るので
大変ためになります!」
良い感覚を得て、
その原理を知り、
ある程度、応用ができれば、
あとは、本当に自分のものとして
身につく(落とし込む)ように
継続していくだけです。
そうなりますと、
思ってもみなかったものにまで、
その原理を働かせられるようになり、
周囲からは
上手な人、センスのいい人と
見られるようになってしまうわけです。
何をもって「コツ」というのか
にもよりますけれど、
地の力を強くしたいですね。
『月刊秘伝』6月号(発売中)