前回からの続きです。
なぜ、女優さんは古武術家の方の提案した
簡単なイメージをもとにした動きが出来なかったのか？
むしろ、そのイメージは、
女優さんのほうこそ得意なのでは？
と思われるものだったにも関わらず。
そしてまた、なぜ、
古武術家の方は、このイメージを提案したのか？
ここが、
イメージと思考の違いを如実に表しているんです。
お分かりかとは思いますが、
女優さんは
イメージしているつもりで、
実は、思考
だったわけです。
これは、演技でもダンスなど身体表現でも、
よくあることでして、
だからこそ、私は
「イメージするな」
と指導するんですね。
イメージという名の下に、
思考に陥ってしまわないように。
では、古武術家の方は
なぜ、そのイメージをすると上手くいくんですよと
提案したのか？
それは、
変な言い方になりますけれど、
古武術家の方はそもそも、
その技（動作）が出来ているからなんです。
そして、その出来ているときの感覚が、
あるイメージを呼び起こしているわけです。
決して、イメージが先ではないんです。
身体（感覚）が先なんです。
ですから、そのイメージを持てと言われても、
女優さんは頭の中だけで考えるにとどまり、
身体（感覚）には変化が起きないんですね。
身体に結びついていないことにも
気がつけないんです。
一方、
古武術の方は、イメージ（表現）の世界とは縁遠いがゆえに、
イメージすれば良い動作になると、思ってしまうんです。
これは、この古武術家の方ではなく、
別の身体動作研究家の方も、
同じ考え方をしているようです。
このように、
すでに出来ている人が、指導の際に提案するイメージは、
出来ているがゆえですから、
出来ていない人が、そのイメージで
上手く行えるかどうかは、かなり難しいことなんです。
また、
表現の世界の人は、
概ね想像力が豊かではあるのですが、
それは、得てして頭の中にとどまってしまっているんですね。
身体（感覚）とリンクしていないんです。
けれど、リンクしていないことに
自ら気がつくのは、とても難しい・・・
当たり前ですよね？
頭の中では、イメージ（実際には思考です）出来てるわけですから。
そこで、私はそのイメージが思考ではなく、
本当のイメージかどうかを確認する手段として、
この古武術家の方のワークのようなことを
いつも取り入れ、
むしろ、そちら（身体）を先行させているんです。
いずれにしましても、
イメージとは身体（感覚）を伴うもので、
そうでないイメージは、思考です。
思考は、頭の中でとどまっているものですから、
場合によっては、ますます動けなくなります。
イメージは、外に拓けていける行為ですが、
思考は、自分の世界に閉じていく行為とも言えます。
イメージだと思っている思考・・・
似非イメージですね。
指導者も教わる側も注意を払えたらと思います。
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