踊ってしまうと、それはダンスになってしまう。
ですから、私たちの身体表現アートマイムでは、踊ることはないんです。
けれど、一般的な大きな括りでいきますと、
ダンスとされがち。
演劇という括りにはならない感じがあるんですよね。
で、一旦その括りのお話は置いておきまして、
冒頭のお話です。
アートマイムでは踊ることはないと言いましたけれど、
厳密には、
アートマイムではダンスは見せない。です。
ここにアートマイムの意味、特徴が分かりやすく現れると思うのですが、
もし、ダンスのようなシーンがあったとしましても、
ダンスを見せてしまっては、失敗なんです。
では何を見せられると良いのか？
それは、
ダンスになる前の踊り。
踊りが生まれる音楽。
なんです。
つまり、ダンスというのは、人に見せるための動作です。
その他人の目を意識した動きではなく、
それが生まれる大元の、音楽的なものを作り出し味わっている身体こそが
アートマイムで見せるべきものなんです。
これ、踊りをされている人には、
何を今さら？かもしれもしれませんけれど、
振り付けを踊ることがダンスだとなってしまっている人には、
難しいお話かもしれません。
踊りが生まれる音楽とは、
単にリズムをとることではないんです。
リズムもありますけれど、メロディーや情景などの要素も必要です。
まぁ、大雑把な言い方をしますと、
振り付けの曖昧な踊りですね（笑）
振り付けらしい振り付けはないのに、音楽性のある動き。
です。
さて、先日『シアターカイ国際舞台芸術祭2022』で
アートマイム塾4期生10名が舞台に立ち、
おかげさまで好評をいただきました。
終演後、実行委員のおひとりであるダンサーの方が、
「ダンスというか演劇に近い？」
「どうやって作品を作ったのか？」
といった感じのことをおっしゃったんですね。
そう、ダンスと括られがちなんですけど、
ダンサーからすれば、演劇のはずなんです。
そもそも、アートマイムが何を見せられるように訓練を積むのか？
と言いますと、
内面の動きです。
それと、無意識の身体変化です。
（無意識の身体変化とは、例えば、何かを目にした時、
見るということによって居着いてしまう身体、といったものです。）
アートマイムは言葉を一切発しない身体表現ですから、
ダンス経験者は有利そうですけど、
意外に不利だったりするんです。
と言いますのは、不必要・不自然な動き方をしがちだからです。
ですから、稽古中によく言うんですけど
「それでは、ダンスになってしまうよ」と。
（もちろん、それでも有利な面もあります。
人それぞれではあります。）
このような訓練が、ダンス作品になることはありせんでしょ？
ただ、
演劇が言葉だとしますと、アートマイムは言葉ではありません。
ダンスと同じように身体ではあります。
けれど、
ダンスが身体動作だとしますと、アートマイムはそうではありません。
アートマイムは身体感覚なんです。身体感覚。
それが、ダンスを見せない。音楽を見せる。
といったようなことになるわけです。
そんなこともあり、作品はダンス（舞踏も含め）のようで演劇のようで、
やはりどれでもない、アートマイムなんです。
ただいま、次期アートマイム塾開講に向けて準備中です。
4期の情報が参考になると思います。
ぜひ、一緒にやりましょう！
4期も全くの初心者の方もいました。強く惹かれるものがあれば大丈夫です！
お待ちしております。
