オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

無言芝居とマイム演技の違い(大袈裟に動くとか、そんなのではありませんよ。)

イメージして動くのではないんです。

マイムの演技で、ほとんどの人が大きな間違いを犯しているんです。

イメージするのは観客でなければなりませんでしょ?

演者がイメージして動くことと、観客がイメージできるかどうかは違うことと考えたほうがいいんです。

演者にとって大事なことは、観客がイメージできるように動くこと。

演者がすべきことは、何も無い空間に自分のイメージを投影することではなく、
何も無い空間に、何かを生み出すための動きなんです。
(イリュージョンテクニックのことではありませんよ。)



例えば、目の前に「カベ」があるとして、いわゆる「カベ」のテクニックを使わずに、どう表しますか?
「カベ」を目の前にイメージしますか? 色とか? 感触とか?


残念ながら、私はおすすめはしません。



マイムは決してテレパシーで演者の心を観客に届けるわけではありませんでしょ?
観客は何から情報を受け取っているのか?

それは演者のイメージからではなく、「動き」からです。

「カベ」をイメージながら、実際には何も無い空間を凝視したとしますと、
凝視すればするほど、ただ目に力が入って「なんか怖そ~ぉ」な顔になってしまうとは思いませんか?


マイムと無言芝居との違いの1つが、ここにあると・・・
いわゆるマイムテクニックを使っていても無言芝居のようなマイムが多いのは、この違いが大きいのだと思うんです。


例えば、目の前に何かが飛んでいて、それを目で追うと言った場合、一般的には目の玉の動きで表そうとしますし、それを良しとします。
(『ガラスの仮面』でもそういうシーンがありましたね。目の動きだけで分る!って、みんなが驚くシーン)
まぁ、もちろん、それはそれで使えますけれど、それは無言芝居であって、マイムの演技ではないんです。


では、具体的にマイムではどうするのか?
これはちょっと言葉だけでは伝えるのは困難なのですけれど、その何かの動きをイメージするのではなく、自分が何かを動かすといった感じです。
ただ、、、そう言われてイメージする動きでないことだけは確かです。
こればかりは実際にレッスンを受けていただきませんと・・・
(先日の「アクトクラス」を受けた人は、よく分ると思います。)


これは技術なんですね。
特別難しいというわけでもありませんけれど、知っているか?意識して動くか?の違いは大きいですね。
いわゆるマイムテクニックではないマイムの”演技テクニック”です。


で、この演技テクニック、一般のお客さんは気がつきません。
いえ、マイムをしている人でも気がつかないでしょう。

えぇ~!??
そんな誰も気がつかないなら、やる意味ないんじゃない?

とは思わないで下さいね。テクニックとは感じないだけで、非常にしっかりと感じ取っているんですよ。


イメージを伝えようとしますと、お客さんは頭で想像・理解することになるんですね。
けれど、この演技テクニックを使いますと、お客さんは感じるんです。身体でダイレクトに感じるんです。
この差!!


マイムの舞台を観にいきますとよく分ると思いますけれど、
いわゆるマイムテクニックを演者が使う機会は、一般的にイメージするよりもはるかに少ないんです。
ほとんどが演技です。


ということは、今回お話しました”演技テクニック”があるかないかの差は、作品全体の質を大きく左右すると思いませんか?


これは演者にしてみますと、恐ろしいことですよね。



(そうそう、フィギュアスケートのキムヨナ選手はマイムで、浅田真央選手は無言芝居といった感じですね。これはまたいずれ。)



では、最後にもう一度。

演者にとって大事なことは、観客がイメージできるように動くこと。




マイムから心と身体の平和を

オーガニックな(生きた)カラダに  http://jidai.mond.jp/