オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

内面重視での演技・・・身体はどこに? 1

演技、身体表現という分野は、一般の方には見ることはあっても、
自分でやるとなると他人事のように思われるかもしれませんけれど、
身体は多くを物語りますから、意外に大事なんだと思うんですよ。

雰囲気ってありますでしょ?その人が醸し出すもの。
それって、顔や服装もあるでしょうけど、身体全体からにじみ出るものって大きいですよね。


先日、舞台女優を長くされている方から、演技についていろいろと質問を受けたんですね。

その方は、これまでずっと内面重視でやってきて、
リアルにリアルにと心がけて(劇団あるいは演出家の方針?)きたそうなんですけど、
それがために身体が置き去りになってしまい、思いはあるのに身体が動いてくれない・・・
身体がその思いを込めた状態で動いてくれないことで、
内面重視(偏重でしょうね)に大きな違和感を覚えるようになって、
身体というものに着目するようになったとのことなんです。


私はといますと、単にマイムということでなく、
内面というものを身体と切り離しては考えていませんで、身体とは目に見える心だと。
ですから、「エモーショナル・ボディワーク」でもお分りいただけますように、
身体から感情を作っていく方法を活かしたりしているんですね。


で、この女優さんがここ1ヶ月くらいの間で、私のクラスをいろいろ受けて下さって
(残念ながら、エモーショナル・ボディワークを行なっているクラスには、タイミングが合わずでしたが)、
そうしましたら、能の謡いでの声の出方が良くなったり、
バレエもこれまで出来なかったことが出来たりと、
直線気味だった背骨もあるべきS字に近づいてきたりなど、
いろいろと良い変化があったそうで、ますます身体への興味が沸いてきたと。

ちょうど同じ頃、他の舞台女優さんともそんなお話をする機会がありまして、
やっぱり内面重視で身体が置き去りになっていて、
何とかしたいなぁと思っているようだったんですね。


一般的に演技といいますと、思いを強く持つであるとか、イメージを膨らませるであるとか、
そういうことが最も重要で、そこからスタートするべきだし、
その方法しか無いように思われているところがあります。
演技経験の無い方でも、そういったイメージではありません?

これは、実はパントマイムの世界でも同じでして、いや、「むしろ」でしょうか?
とにかくイメージを先行させることが多いようです。


ところが、私は極端に言いますと

「イメージするな」
なんですね。

「自然とイメージされてしまうような身体の使い方、呼吸をしろ」
なんです。


これは、経験をしないことには、なんのことやら?で、
文章だけでは分ってもらえないとは思うんですけど、
イメージ重視の人たちも、結局大事なのは、
そのことでそれに相応しい身体の状態に変化することを期待しているはずなんです。

身体に何の変化(例えば、目の色が変わる)もなく、
頭の中でいろいろ思い描いていましても、誰にも何も伝わりませんでしょ?

それにですね、演技している本人が、身体で感じられないことには、
頭の中で思い描いていることにリアリティを感じられず、
「この演技は嘘だ」
と絶対に心の奥底で分ってしまうはずなんです。
先の女優さんも、その違和感を捉えていたわけですよね。
(多くは、そこに気が付くことが難しいんです。この女優さんは素晴らしいと思います。)


で、これは演技ではなく、キャラクター作りにも共通していえることでして、
YouTubeにアップしている私の「赤鼻クラウン」の映像(この映像アップして下さった方、ありがとうございます。)を、
この女優さんは何度も見て下さったらしいのですけど、
そのキャラクター作りについても、すごく興味があるといいますか、不思議だったようなんです。


それは、赤鼻クラウンのキャラクターが、普段の私とはまるで違うにもかかわらず、
それを感じさせるところが全く無く、
曰く
「キャラクターに”ぶれ”が無い」
と。


即興の大道芸にもかかわらず、細かな反応どこをとっても、素の私が出ること無く、
あるいは、そのキャラクターでそれは無いんじゃない?
ということも無かったということなんだと思うんです。


普通はキャラクター設定を頭でするんですね。
よくは分りませんけど、このキャラクターの好きな食べ物は○○で、年齢は○○、趣味は○○・・・
というような感じかな?
(多くの有名な俳優さんたちもそうしているようですね。)


私は身体から作っていくんですね。
あの赤鼻クラウンのキャラクター、私の中に無いものは出しようがありせんから、
全くの別人ということではありませんけど、やっぱり私とは別人です。
それは身体のあり方が違うということなんです。

ただし、動き方を特殊なものにする、というのとは違うんですよ。
動き方を変えただけでは、キャラクター(別人)にはなりませんから。


話が長くなってきましたね。
キャラクターと素の自分ということも含めて、次回につづく、としましょう。
(ちゃんと書けるかな?)




Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!





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