オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

演技を論理的に学んだら、つまらなくなってしまうんじゃない?

演技を論理的に学ぶということ、どう感じられるでしょうか?


先日のクラスで、こんなシーンを取り上げました。

遠くに広がる花畑。
近づいて、その中の一輪の花を摘み取る。


ただこれだけなんですけど、
演技という場合に、どうしても、
気持ちをどう表すか?
を第一に考えるきらいがあります。


けれど、
気持ちを表すこととは別に、
表現しておかなければいけないことがあるんです。


それは、このシーンでは

1) 「遠い」
2) 「広がっている」
3) 「近づいたときの広がり」
4) 「一輪」

 ※「摘み取る」はおいておきます

になります。



全て、言葉は使いません。
できるだけ、少ない動作(動き過ぎない)で。
けれど、明確に。


そして、
この一見、説明的(主人公の気持ちとは無関係)な部分の表現だけで
ドラマチックにしたいんです。


単に上の4つの状況の変化のさせ方だけで、

観る人の気持ちを、惹き付けるという意味でのドラマチック。



ですから、
「遠くて大変」の“大変”や
「広さにビックリ」の“ビックリ”
のような、内面的なものを付け足すことで
ドラマチックにしようとすることとは、全く異なります。


つい、そういった二次的に起こる内面状況を表現することで、
一次情報(遠さ、広さ)を表現した気になってしまいますけれど、

それでは、観ている側からしますと、
演者がやたらと気持ちを表現しているところを観るだけで、
一次情報がもたらすはずの、景色(主人公が目にしている)を
味わえず、主人公のいる世界には入っていけないのです。



もう少し、分かりやすくお話しますね。


主人公が広さにビックリする前に、
観客がその広さを体験していないと、
主人公のビックリという気持ちに、共感が持てなくなってしまうのです。


演者がビックリの表現で広さを伝えられると思って表現をすると、
観客はまず、主人公がビックリしたのを観て、
その驚きを通して、広いのだろうと想像を働かせることになります。


順番が逆なんですね。


主人公は「広さにビックリした」のに対して、
観客は「主人公のビックリを知って、次に広さに意識が向く」


こうなった場合、観客サイドとしては、
演者がやたら一方的に気持ちばかり表現していると感じ、
興醒めするものです。


本来一次情報である広さについては、
観客が自ら想像力を働かせて考えなければならず、
気持ちよりも、頭を使うことになり、

演者の突然表現される感情表現に、ついていけないのです。



できるだけ、観客が主人公と同じ体験…
主人公が味わう順序で体験できるようにしていくことが大事なんです。


そして、
その主人公の体験というのは、

主人公自身が意識していない体験も重要なんです。



「一輪」の表現ですけれど、
広い花畑を目の前にして、多くの花を漫然と眺めているときには
一輪々々の花を見ているわけではないのに対して、
摘もうと思って見るときは、その一輪の花しか見ておらず、
他の多くの花は目に入っていません。

主人公にとって、視野を通しての体感覚が全く違うんですね。


この体感覚の変化を、表現(動きや身体の状態で)ができると、
観客は、もはや観客ではなく、主人公として花畑にいるような感覚になるんです。


これが、ここでいつもお話している
「世界に巻き込む」ということですね。


演者がどれだけ気持ちを表現しても
それは、二次情報です。
一次情報なくして、二次情報を溢れさせても
演者の自己満足にしかならないんです。



私が「イメージを先行させて演技をしてはいけない」
というのも、このことに通じます。


イメージしてしまうと、それは演者のものでしかなく、
観客にとっては、一次情報が隠されてしまうのです。


一次情報を表現するには、技術や知識が必要です。


演技を論理的に学ぶとは、こういったことがあるのです。






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