感情と身体の一致・・・
アートマイム／オーガニックマイムでは
非常に重視している点です。
芝居はもちろん、踊りでも、
重要だと思います。
なぜ、重視するかといえば、
容易ではないからですね。
もし、誰もが何も気にせずとも
当たり前にできることであれば、
ことさら重視する必要はありませんよね。
では、どの程度、
難しいのかといいますと、
実は、
それほど難しいものではないんです。
なぜなら、本来、
感情と身体は一致しているからです。
身体から切り離された感情なんて
ありません。
感情と身体の一致が難しいのではなく、
思考を感情と勘違いしてしまうために、
ややこしくなるんです。
ですから、
私の開発・提唱している
思考を外すために、身体から感情に
アプローチするわけです。
感情の種類にもよりますが、
余程のことがない限りは、
誰でもすぐに、
感情と身体の一致を味わえます。
けれどもちろん、
エモーショナル・ボディワークによらずとも、
芝居、踊り、歌 …
多くの表現者は、その人なりに
しっかりと、感情と身体は一致していると思います。
確かに、
感情の種類を豊かに、きめ細かく
となりますと、また難しさは出てきますが、
それは、ここでは一旦横に置いておきます。
多くの表現者が、その人なりに
感情と身体が一致しているはずなのに、
何が問題なんでしょう？
それは・・・
表現で重要とされる
「感情と身体の一致」とは、
このような
その人なりの一致のことではないんですね。
つまり、
他人から見ての一致なんです。
観客から見て、
演者の感情と身体が一致しているかどうか？
これが重要なんです。
あまりに当たり前過ぎて
拍子抜けしたかもしれませんが、
この当たり前に
気がつかずにいるために、
やみくもに感情と身体の一致を求めて
苦しんでしまうんです。
ドキュメンタリー映像の中で、
息子6代中村勘九郎に指導しているシーンがありました。
そのとき、
こんなことを言っていました。
「気持ちなんかなくたって、
こうやりゃぁ、
気持ちがあるように見えるんだよ。」
「お前は、気持ち気持ちっていうけれど、
こっちには、伝わってこないんだよ。」
「お前は、気持ちは出来てる。
けど、それを見せる技術を考えなきゃ。」
「お前は真面目過ぎるんだよ。」
…概ね、こんな内容でした。
「気持ちがなくても」のくだりは、
「本番で、そんなことやっちゃいけねえよ。」
とは言っていましたけれど、
感情と身体の一致について、
お分りいただけると思います。
表現というものを
どう考えるかですが、
人前で、ただ自己の解放をすることが大事でしたら、
自分の感覚が、観客の感覚よりも
重要とするなら、
何も言うことはありません。
けれど、人に伝えたいという思いがあるのでしたら、
いかに、他人から見て、
感情と身体が一致しているか？
ということを重視する必要がありますよね。
感情は自分なりに本当に感じているのに、
身体と一致しない、伝わらないと
なぜ苦しむはめになってしまうのか？
18代中村勘三郎の
「お前は真面目過ぎるんだよ。」
の言葉が、
刺さってくるのではないでしょうか？
他人から見ての感情と身体の一致とは、
技術です。
技術という言葉が、
「嘘」
を連想させるのでしょうけれど、
そうではありません。
自己満足に終わらせない。
人に伝わって、初めて意味を成すはずです。
例えば、ラブレターでも、
励ましの手紙でも、お礼の手紙でも、
言葉を選びますよね？
言い回しを考えますよね？
自分の本当の気持ちを
間違いなく伝えるために。
同じことです。
さて、
アートマイム／オーガニックマイムのレッスンでは
感情を
より繊細で、より複雑で、より深いものとして
獲得してもらいながら、
同時に、
他人目線での感情と身体の一致を
身につけてもらうべく
指導しているんですね。
ですから、分野ではなく
人前に立つ、あらゆる人にとって
深く関係のある内容なんです。
興味のある方は、
経験、分野を気にせず、
お越しいただければと思います。
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