映像と生の舞台、当然違うわけですけど、
私は自分のアートマイムは、映像に向かいないなぁと思っているんですね。
実は、少し前にパントマイムの人たちが何人か、
それぞれソロ作品を上演するという公演に出演した際、
映像配信があったんです。
私はそのことを知らずにいたものですから、
私の演目をカットした配信にしてもらえないか？お願いしたんですね。
主催の皆さんには迷惑をおかけしてしまったのですが、
2日間3回公演のうちの1回だけが配信予定だったため、
私の出演の無い日の公演を配信してもらうことで、
まぁ、なんとか事なきを得たわけです。
（主催側にとっては、事なきではなかったかもしれませんが・・・ありがとうございました。）
申し訳なかったなぁと思っていたのですけど、
照明・音響を担当下さった人（Mさん）の言葉に救われたんです。
Mさんには、最初期の作品から数年間、照明・音響でお世話になっていまして、
今回の公演は9年10年ぶり？くらいに、またお世話になったんですね。
まぁですから、Mさんは私の作品の傾向をよく知っているんです。
しかも、今回の公演では、まさにその最初期の作品の再演だったんです。
で、公演本番の日に映像配信の話が少し出た際に、Mさん
「映像では伝わらないよ」
「空気感だからね」
といったことを言って下さったんです。
救われました。
ただ、ここで誤解がないように伝えておきたいのですけど、
空気感と言いましても、
私のアートマイムは、原則全ての動きが具体的な意味を持っているんですね。
抽象的な動きで、解釈は自由というタイプのものではないんです。
そんなこともあって、身体表現という言い方よりも身体演技と言っているんです。
そして、その演技の動作も、キレイな動きを見せようとするのではなく、
普通に見えることが重要でして、
けれど同時に、普通に動いたのでは現れてこない内面の動き、
それが現れるような動作にすることが、最も重要なんです。
一般的なパントマイムは、ジェスチャー的な動作に気持ちをのせて演技しますし、
バレエでのマイムは、そこにキレイに見せることをプラスしている感じかと思います。
どちらも、身体を見せようとしています。
けれど、アートマイムでは身体を消す必要があるんですね。
身体を消すことで、主人公の内面の動きが鮮明に立ち上がり、
作品世界が観る人自身の世界になる。
（どこまで達成できているかは、観た方の判断に任せる他ありませんが・・・）
もちろん、これには演者の演技・表現力だけでなく、
作品の構成力も極めて重要ではあります。
と、そんなアートマイムをMさんはよく分かって下さっていたということなんです。
アートマイムを初めて観た方の多くが
「不思議な時間と空間」
「時間や空間が歪んだ感じ」
「観ているというより体感してる感じ」
といった感想を漏らします。
映像では難しいんです。
舞台を何度も観て下さっている方ですと、
「YouTubeの映像では全く伝わらない！」
と、褒められているのか、貶されているのか、
なんですけど（笑）
次回のアートマイム公演は来年3月27日と、だいぶ先になってしまいますが、
予定に入れおいていただければ嬉しいです。
また、こんなアートマイムをやってみたいという方は、
来月スタートする「アートマイム塾」に、ぜひご参加下さい。
アートマイム新作（8月22日上演） 写真はこちらから↓
