いきなりですが、日本は「体当たり・尻もち」文化なんだろうと思うんです
ね。
どういうことかと言いますと、
基本、身体の使い方の話なんですけど、
攻撃の際に、相撲は体でどん！と当たりますでしょ？
空手などの突きも、ボクシングのようなパンチではなく、
腕の付け根を体幹に固定するようにして体ごと当てていく感じですよね。
ボクシングでは伸びやかにシュッシュッ！ですけど、
空手では、肘を絞ってドン！ドン！という感じ、みたいなことです。
一方、尻もちと言いますのは、
日本は「引く」文化といった面がありまして、
ノコギリ、日本は引いて切るんですけど、欧米は押して切るんです。
歯の向きが違う。逆向きなんです。
相撲や柔道も、まわしや道着を掴んで引き込めるようになっています。
レスリングは丸裸です。
日本のものは引き込みたいわけです。
で、引き込むにあたっては、腕力だけではどうしても弱い。
体ごとの方が重さが活かせ、強い。
となれば、尻もちの形が一番良いわけです。
柔道の巴投げなんて、まさにその原理ですね。
まとめて言ってしまいますと、
日本は腕・脚の無い胴体だけの体なんだと思うんです。
胴体だけのまさに体ごと、当たるか？引くか？
みたいな感じですね。
では、欧米はどうか？と言いますと、
「発砲」文化なんだろうと思うんです。
鉄砲の発砲ですね。
どういうことかと言いますと、
何でも飛ばすんですね。バン！と遠くに飛ばす。
パンチは拳を飛ばす。
日本のように体ごとではなく、体はそのままで、拳を遠くに勢いよく飛ばすようにして殴るわけです。
ある意味、腕力ですね。
欧米の人のケンカは、掴みかかるというより、殴りかかる感じがしませんか？
日本人は、掴みかかる感じかな？と。
この発砲・飛ばすですけど、歌もオペラが分かりやすいですけど、
遠くに声を飛ばす感じです。
一方、日本は能の謡がいい例で、引き込むような声です。
踊り・舞も、バレエはジャンプという、上方向に飛ばす動きですけど、
能や歌舞伎、日本舞踊などは地に体を引き込みっぱなしみたいな感じですよね。
で、バレエなど欧米の踊りは、発砲、飛ばしますから、外側に躍動感がそのまま現れるわけです。
それに引き換え、日本の能や歌舞伎、日本舞踊などは、腕・脚の無い胴体だけですから、外側に躍動感が現れない。
そのために、バレエは歳をとると踊れなくなるけれど、日本のものは歳をとっても関係ない。
少し表現のお話になりますけれど、この躍動感が外に現れるかどうか？が、身体表現では重要なポイントになります。
バレエに代表される欧米の外側に躍動感が現れる踊りは、変な話、外側が動いていれば、中身が無くても魅力的に見えるんですね。
一方、能や歌舞伎、日本舞踊などは、外側に躍動感が現れない分、内側に躍動がありませんと、全く魅力の無いものになってしまうんです。
といったように、「体当たり・尻もち」文化と「発砲」文化を見比べてみましたけれど、
精神構造にも当てはまると思うんです。
欧米の「発砲」文化は、簡単に手足を出します。噛みついてかかる。
些細なことでも、すぐに口論、ケンカになる。そして引かない。
一方、日本の「体当たり・尻もち」文化は、おいそれとは手足は出しませんし、すぐに自分が引きます。
ただし、いざとなった時には、体全体で突っ込む。神風特攻隊のようなあり得ないことをしてしまう。
引く方に働いた時は、自殺というやはり体全体を引いてしまう形になる。
自殺率、日本は欧米に比べて高いですよね。
「体当たり・尻もち」文化は、腕・脚が無いために、普段は行動しづらく、行動するとなると極端なものになるんでしょうね。
最後に。
日本は生活スタイルが欧米化していますから、何となく過ごしていますと、
内側に躍動感がないまま外側だけ躍動させようとし、けれど、腕・脚の無い身体であるために、さして躍動できず、遠くにエネルギーが飛ばない、引きこもった、気持ちは伝わってきたよと言われてしまうような行動になってしまう恐れがあります。
私も自分に、この辺りのことは言い聞かせないといけないなと思います。
「体当たり・尻もち」文化と「発砲」文化。こんな見方が何か役立つかもしれません。
