身体の使い方を良くしていく上で、重要なことがあります。
それは、働いて欲しい筋肉を意識しない方が良いということです。
意識しない
です。
意識するから、動きが悪くなるんです。
例えば、よくある「お尻を締めましょう」「お腹に力を入れて」
については、何度もお話していると思いますけれど、
結果としてそんな感じになるだけで、
締めたり入れたりしては、本来の目的は果たせないんです。
今、踊りの方を個人指導をしている中で、
必要な動きを導き出すための、一見訳の分からないイメージをさせることがあるんですね。
例えば、骨を変形させるみたいな。
当然、そんなこと出来るんですか?みたいな反応になったりはするんですけど、
イメージしやすくなるようなお話をして、とにかくやってもらうんです。
で、どうなるか?
その方が普段教わっている先生に言われていて、けれどうまく出来ないことが、
「あぁ、こういうことなんですね!」
となるんです。
「確かにこれをすると、太ももの内側が使われます」
「引き上がります」
といったような感じです。
ところが、ここで注意が必要でして、
「やっぱり引き上げが大事なんですね」
と理解してしまってはダメなんです。
あるいは、
「太ももの内側に力を入れたら、引き上がるんですね」
や
「引き上げるには、太ももの内側を使えばいいんですね」
みたいな理解もダメ。
なぜダメなのか?
答えは、簡単です。
試しにやってもらうのですけど、
「太ももの内側に力を入れてみて下さい。引き上がりますか?」
「いえ、引き上がりません。」
「引き上げてみて下さい。太ももの内側に力が入りますか?」
「いえ、入りません。」
「では、太ももの内側に力を入れながら、引き上げてみて下さい。」
「出来ます。」
「先ほどの、骨を変形させるイメージでやった時と、どうですか?」
「全然、違います。骨を変形させるイメージだと、全身がつながる感じですけど、太ももの内側に力を入れながら、引き上げるのだと、う~ん、、ただ力んでる?」
ということなんです。
私が一見訳の分からないイメージをさせるのは、自然な全身のつながりを生み出すための方策なんですね。
一般的には、意識に上りやすい筋肉だけを働かせようとしてしまうために、意識はしやすいのですけど、良い状態には決してなり得ないんです。
全身がつながって動いているときは、意識に上ってこない他の様々な筋肉が働いているんです。
その働きを無視して、上手くいくわけがないということなんです。
で、それでも多くの人は、骨を変形させるイメージでうまく行ったにもかかわらず、つい、使われた筋肉に意識が行ってしまい、次からはその筋肉への意識で動いてしまう。。。
それでは、当然
「なんだか、うまく行かないんですけど、どうしてでしょう?」
となりますよね。
先月の『体幹の最深部を覚醒させる発声』というワークには、私のワーク初受講という方が大勢いらしたんですけど、
やはり、同じような感じが色濃く現れていましたね。
なぜ、このワークで体幹がどう覚醒しているのか、明らかにお互い強くなっていることを感じ確かめ合えているにもかかわらず、既存の知識では理解ができないために、〇〇筋が使えているからではないか?みたいな理解をしたがってしまう。
けれど、その〇〇筋を働かせたからといって、同じ結果が出せるわけではないんですよね。
本当に現状からの脱皮を願っているのであれば、どういう考え方が必要か?ということです。
結果の良くなる方法をとるか?
結果に結びつかなくても理解できる方法をとるか?