柔らかいことを手放しで良しとする感じがありますけれど、
エネルギーの通りの良し悪しで見ますと、
少なくとも私の指導の範囲では、柔らかい人はエネルギーが通りづらい印象なんです。
不思議な感じがしませんか?
もちろん、硬ければ良いということではないんですよ。
ただ厄介なことに、柔らかい人は一見、動けるんですよね。
硬い人は良い動きが出来ない印象がありますでしょ?
逆に、柔らかい人はその可動域のおかげでよく動けるように見えますよね。
ですから、柔らかい人がエネルギーが通りづらいとは、ちょっと思いづらいわけです。
本人もきっとそう思うと思うんです。
で、この辺りのこと、小さい頃からバレエをずっとやっていた女性(私の生徒さんです)に色々と聞いて分かってきました。
結論から言いますと、
エネルギーが通らないのは、関節のところで断線させて折り曲げてしまうような柔らかさになっているからなんです。
どういうことか? この女性は例えば、長座前屈をしますと、ペターっと折り畳まれるように曲げられますし、開脚もペターっと難なく、むしろ180度では足りないくらいに開くことが出来てしまうんですけど、
伸びる感覚が無いんですね。
行ききったところで「はい、お終い!」みたいなストップがかかる感じらしいんです。
この「はい、お終い!」みたいなストップがかかる感じは、おそらく多くの人が同じ感じではないかと思います。
ですから、当たり前じゃないの?と思われると思うんですね。
けれど、その感覚では(厳密な意味では)エネルギーを通すことが難しいんです。
で、この女性はレッスンを重ねるうちに徐々に身体の繋がりが出来てきたようで、
ある頃から、ペターっと行ききっても、「まだ伸びる!」といった感覚が生まれるようになったようなんです。
同時に、行ききる手前のそれほど曲げていない位置ででも、「ストレッチになっている!」という感覚を得られるようになったと。
このお話、出来るようならないと決して分かることはありませんで、実際、この彼女もそう言っています。
「これは、出来ないと分からないですよね。。。」
つまり、全く違う世界なんです。
ですから、体感が無い状態で、理解しようとは考えないでいただきたいのですけど、
今のストレッチの仕方が必ずしも良い方法になっているかどうかは、定かではないということだけは、頭に留めておいて欲しいなと思うんです。
では、どうしてこういうことが起きるか?ですけれど、
一般的なストレッチでは、最初にお話したように、「関節のところで断線させて」しまうからなんです。
(以前お話したことも参考にして下さいね。『柔らかさって? ~働き過ぎと働かなさ過ぎ~』)
断線させてしまいますと、その先に力を伝えることが出来ません。
特に開脚などで股関節の断線がクセになっていますと、踏むことが出来なくなります。
踏むエネルギーがお腹とつながってくれなくなるんですね。
ですから、全体としてエネルギーの通りづらい、そもそも生じさせづらい身体になってしまうわけです。
ということは、
開脚でも前屈でも股関節周りのストレッチをする際は、
断線させずに踏めるようにとすればいいんです。
この形でストレッチをしますと、筋トレのような感覚になります。
力んでストレッチしているのとは、全く別物ですよ。
私がストレッチや筋トレという考え方を取り入れないと言っていますのは、このような形で身体づくりをしているからなんです。
基本、常にストレッチであり筋トレでもある感じということです。
身体をどう作るか?
参考になればと思います。