バレエに限るわけではありませんが、踊りの腕の形や脚の使い方は色々と難しさがありますよね。
私が16年ほどやっていた日本舞踊もそうですけれど、
伝統的な踊りは特に、そういった形には厳しそうです。
けれど、実は本来難しいものではないんです。
もちろん、私も日本舞踊では苦労してきましたけれど、それは日本舞踊としての立ち方、歩き方のエネルギーの通し方を見つけるまでのことでした。それが分かる前と後とでは、全く振付に対する余裕が変わりました。
つまり、基本どんな動きでも形でも、考えることなくほぼ良い感じなるんです。
なぜなら、それが自然だから。
バレエも同じだと思います。個人レッスンで長いこと指導していますけれど、バレエとしての立ち方のエネルギーの通し方が分かりますと、難しい脚の動きも、腕のポジションさえも、自然と良い感じになるんです。
例えば、パッセ。
色々と注意点がありまして、正直わけが分からなくなりそうな感じなんです(笑)
膝を上げるにもかかわらず、膝は上げるというよりも遠くに伸ばす必要があるとか、上げた足の踵を押し出すとか、上げる足を軸足のひざにつけるまでに、右足のつま先が、くるぶし・ふくらはぎをなぞるようにとか、お尻が引けてしまわないようにとか・・・とか、とか(笑)
こういったこと、その一つ一つを考えていったのではとてもではありませんけど、動けませんでしょ?
なぜこんなにも大変になってしまうのか?
それは、バレエとしての立ち方のエネルギーの通し方が分かっていないからです。
分かりますと、これらの注意事項は注意事項というよりも、「そうなるはず」のことを言っているに過ぎないと思えるようになります。
(そもそも、パッセは膝を曲げるようなカクッとした角のある動きではなく、丸みを帯びた動きでして、膝を曲げてはいけないと言った方が良いくらいなんです。)
動きの精度・美しさを上げるには訓練が必要ですけど、基本的には当たり前の動きとして出来るようになるんです。
むしろ、そうとしか動けないでしょ? となります。
体重移動する際の脚の運びなども、そうとしかならないし、そうでないと出来ないでしょ? という動き方になるので、先生の言う注意点を気にする必要が無くなるんです。
個人レッスンをしていますと、
「あぁ、先生はこういう動きのことを言っていたんだと、分かりました。」
ということがしばしばあります。
(ただ、エネルギーが通っていない先生の場合は、言うことが間違っていることがありますので注意が必要です。)
日本舞踊でも、「〇〇の動きでつい後ろ足に体重が乗り過ぎてしまう」といったことも、そもそも日本舞踊としての立ち方、歩き方のエネルギーの通し方を分かっていないから、そういった細かな問題点・悩みが生じるんです。
何流かは覚えていませんけれど、師範として指導されている方でも似たようなことがありました。
いずれにしましても、立ち方のエネルギーの通し方を掴むことが重要。
ちなみに、バレエと日本舞踊とでは全く違います。見た目の違いというよりも、脚のエネルギーの流れがある意味、真逆なんです。
どちらも「踏む」という点では同じなんですけど、真逆の流れで踏むんです。そのために、バレエでは上方へと軽やかさが生まれ、日本舞踊では下方へと重さが生まれるのです。
昨日は『基礎は最初に取り組むようなものではない』という記事を上げましたけれど、今回のお話は基礎であると同時に基礎以前の土台になります。
このような土台は、本当は最初に取り組んだ方がいいのですけど、なかなか興味を持てないと思うんですよね。
そして、基礎は教室で教えてくれますけれど、土台を扱える教室は稀。ボディワークなどでもあるのか無いのか? です。
ですから、土台の存在に気が付くこと自体が稀。
知っても、取り組むかどうか? おそらく稀。
一部の才能ある人だけが、自然と土台が出来上がってしまう感じかと。
それでも土台の重要性を感じ取り実際に取り組んでもらえる人が、少しでも増えたらいいなと思います。
何より、後が楽ですし、結局ずっと先まで手が届きます。
ですから、出来たら癖がつく前に取り組めるといいですよね。