バレエはバレエの身体にする必要があると言いますか、そうしませんと大変過ぎます。
バレエの身体として特に重要なのは、膝より下でして、ここを上手く働かせられませんと、色々と難しいことをする必要が出てきてしまうんです。
逆に言いますと、膝より下を上手く働かせられますと、さまざまな動きが考える必要なく上手く動けてしまうんです。
「西洋の身体と和の身体」ということを、7年くらい前からお話をしていますけれど、ここ数年はバレエの方の個人レッスンを通じて、バレエの身体づくりに磨きがかかっていまして、冒頭の発言のような思いを一層強めています。
バレエで一番問題なのは、(股関節の)外旋。
引き上げも問題なんですけど、一番は外旋。
お尻の中で、つまり股関節を自ら外旋してしまうことで、脚が螺旋しなくなってしまう。これが大きな問題なんです。
(これはバレエに限らず、あらゆる分野で問題)
大事なことは末端である足先にエネルギーを通すことなんですけど、このような外旋をしてしまいますと、脚が軽くなって、働きを失ってしまうんです。
軽くなるなら良いんじゃない? と思われるかもしれませんよね。
けれど、それこそが問題でして、足先に重さが生まれなくなってしまい、結果、全て筋肉で動くことに。
足先が重さを持てますと、遠心力といった放り投げる力が利用できるんですね。そのため、脚全体として特に付け根に近い太い部分ほど軽くなるんです。
けれど、脚が軽くなって問題と言いますのは、足先ほど軽くなり、付け根に近い太い部分ほど重くなっているんですね。
そうしますと、その重たい付け根に近い太い部分を持ち上げるのに、筋力を多く使う必要が出てきます。
脚が太くなりますよね。
外旋でお尻を使い過ぎ、動きづらくなっているところに、さらに脚を上げるのにたっぷり筋力を使う。
大変過ぎます。
で、膝より下を上手く使いましょうということなんですけど、ひと言で言いますと、膝を使わずに反張膝にしましょうということ。膝を使わずにですよ。
変な話ですけれど、こうしますと脛が内旋(見た目は外旋)し、結果、股関節が外旋するんです。
足首から先の部分の使い方も重要なんですけど、まずは分かりやすいところで、膝を使わずに反張膝。
もちろん、反張膝のような感じということなので、セルフでやってしまうと、どうしたって膝をつかってしまいます。危険! やらないで下さいね。
さて、膝から下を上手く使えますと、上半身、特に胸・腕が解放されます。
引き上げも勝手に生じてきます。
引き上げは自ら行なってしまいますと、それだけで上半身が緊張してしまいます。
身体の使い方といいますのは、見た目に現れる分かりやすい動きは、得てして結果的に起きるものであって、自ら起こすことではなかったりするんですね。
その一つが引き上げ。
膝から下に戻りましょう。
バレエに限りませんけれど、脛の骨に乗ることは重要で、けれどその骨のどこに乗るか? どこを通して重さを伝えていくか? 見落としがちなんです。
ここを良い感じにしていけますと、足先の使い方・使われ方も違ってきます。
バレエにしましても日本舞踊にしましても、伝統的な踊りは、自然な動きで踊れるようになっているはずなんです。腕や脚のポジションなども頭で覚えて綺麗そうな形にするものではなく、エネルギーが通っていればその形になるというものなんです。
エネルギーの通りの精度が上がっていけばいくほど、何も考えずに自由に動いていて、それでいて美しい。むしろ、そうであるから美しい。
綺麗な形を作ろうとするから、美しくなくなるんです。
バレエで身体を壊してしまう人は多いと聞きます。特に大人になって始めた場合は特に。
憧れのものを長く本当に楽しめるように、大元の身体を作ることに
意識を向けてもらえたらと思います。
美しくなるためにも。