箱根駅伝の「山の神」と言われる人が過去に何人かいて、マラソンでの活躍を期待されるわけですけど、オリンピック代表になれた人はいなかったのではないかと思うんです。
期待ほどの活躍が出来ないのはなぜか?
普通に考えますと、坂を永遠に登るようなところで圧倒的な速さで走れる選手は、当然、平地では物凄いことになるのだろうという印象を持ちますよね。それなのに、どうして?ですよね。
で、1年?半年?くらい前に気がついたことあるんです。
それは・・・
坂登りが得意な選手は、そもそも平地での走り方が良くないからだろうと。
もし、マラソンで結果を出すことを期待するならば、登りではなく坂下りが得意な選手に目を向けるべきだろうと。
これ、どういうことかと言いますと、去年の12月の記事
でお話をした、その内容通りなんですけれど、
坂登りが得意な人の走り方は、この記事で言う「和の歩き方」なんだと思うのです。
和の歩き方とは、脚を前に出して、前方の地面を引き寄せるような力の使い方なんです。
一方、西洋の歩き方は、脚で地面を後ろに押し出していきます。
坂を登る際には、この和の力の使い方が有効に働きまして、簡単に言いますと、坂を脚でよじ登る、そんな感じです。
これは、別の見方をしますと、脚の力で前に進んでいる・走っているということなんですね。
筋肉で言いますと、太ももの前側、大腿四頭筋が働きやすい。
あるいは、ふくらはぎ。足首で地面を掻くような力を使ってしまう。
つまり、上体が後ろに残った状態で、脚で体を運ぶ形ということでして、平地で走るには、効率の悪い走り方なんです。
もちろん、山の神と言われ、マラソンでオリンピックを目指せるような選手ですから、一般の人のレベルでの悪い走りではないでしょうけれど、世界で争うとなりますと、厳しいんでしょうね。
では、坂を下るのが得意な人は(話題になりませんけど)、どんな走り方か?と言いますと、西洋の歩き方である、脚で地面を後ろに押し出していける走り方。上体が先行して重心が前にあり、脚をあまり前に振り出さないために、地面を真下でしっかり踏み込める、そんな走り方。
とまぁ、山の神とマラソンの関係から、こんなふうに考えていたんですけど、2代目山の神と言われた、元青山学院大学の神野選手が、対談で自分の走り方の特徴を話されていて、それがまさに和の歩き方的なものだったので、おお!やはり!!と。
それで気を良くしまして(笑)、こんな記事を上げた次第です。
動画(45:34~)
で、さらにこの対談の中で、興味深いシーンがありました。
それは、25:35~を見ていただくと分かるのですけど、地面反発をもらって走ることの重要性について、為末選手(400mハードのオリンピック3大会連続代表、世界選手権2大会で銅メダルという、まさに世界で戦えた選手)と神野選手がそれぞれ説明している時の手の動きが全く違うんです。
為末選手は足に見立てた手を、手首を曲げたままにしています。一方、神野選手は手のひらで地面を舐めていくような動きをします。
神野選手のこの感覚、これは和の歩き方の説明で出てきた「足首で地面を掻くような力を使ってしまう」という、まさにこれなんです。
当然、反発を十分活かせるのは、為末選手の説明の動きです。
(この辺りのことは、『運動センスを一瞬で上げる』で説明していますので、興味のある方はぜひ。)
※私がこういった人と同じレベルで走れるわけではありませんよ。身体の使い方の違い・特徴を知ってもらえたら、ということです。
最後に、私のオススメする坂の登り方、下り方を。
登るときは、転がり落ちるような感じで。
下るときは、いわゆる坂を登るような感じで。
【公演のお知らせ】
3月15日(金) 19時半開演(20時半終了)