「歩く姿が武である」
という言葉があるんですけど、お聞きになったことはありますでしょうか?
合気道の開祖である植芝盛平の言葉なんですけど、いい言葉だと思いませんか?
それは決して、武術家っぽく歩くということではなく、
一見普通である歩きが、その内部のエネルギーの流れ方みたいなものが、すでに武術家のそれである、
といったことなんでしょう。
(もちろん、普通の歩きには見えないでしょうけど・・・達人は達人。)
武(武術)というものが、特別(非日常)のものではなく、
日常に下りていなくてはいけないということだと、思うんですね。
私の知り合いのダンサーは、やはり普段の姿が違います。
小さい時からバレエをやっていたみたいなんですけど、不思議とあのバレエダンサー特有の雰囲気ではなく、
むしろコンテンポラリー系の雰囲気なんですけどね。
彼女と初めて会ったのは、もう何年前でしょう?8年くらい前かしら?
私のクラス生の1人がクラスに連れてきてくれまして、建物の入り口辺りで出迎えたんですけど、
今でもその時の姿をはっきりと憶えています。
武術家もダンサーも、足(さばき・動き)というのは非常に大切にしていると思いますし、姿勢というものも大切にしていますでしょ?
マイムの人は理想的には、その両者の要素を持っていることかな?と思うんです。
まぁ、私が勝手に理想だと思っているに過ぎませんよ。
ダンサーのように足を高く上げることはありませんし、武術家のような足さばきをするわけではありませんし・・・
ただ、股関節で地面を捉えて、地面からの反力を上体・上肢に伝えるということや、
股関節から下の力を抜いて、膝や足首を柔らかく使うことで、重さを失わずに軽く動くということは、
共通すると思っているんですよね。
と、偉そうなことを言いましても、まだまだです。
この1年でも、随分と歩き方が変わりました。
(人からは同じに見えるかもしれませんけど)
いかに自然体を作り上げていくか、といった感じですね。
私は無理は目指しません。無理はあまり好きではないんです・・・
いかに楽か?
いかに心地良いか?
いかに楽しいか?
これにプラスして、
いかに強いか?
いかに優雅か?
少しでも歩く姿が武に近付きますように。