前回に引き続きまして、キムヨナで~す。
キムヨナの演技力の素晴らしさを語る際に、顔の表情の豊かさが取り上げられますでしょ。
けれど、その豊かさが生きるのは、やはり身体の表情が豊かだからこそ、だと思うんですよね。
演技しようとしますと一般的には、顔の表情に頼りがちになりますね。
よくて、鎖骨から上も使えるといったところでしょうか。
どうしても、脳がある頭に近いところだけしか動かないんです。
あとは、一番使いやすい手ですね。
で、見る側もその部分に目が集中してしまいます。
極端な話、首と顔、手(手先だけでも)さえあれば、ほとんどの演技が成立してしまうということ。
しかしながら、全身をさらけ出しながら、その動かしやすい部分だけで演技していますと、
どうしても表面的な演技に見えてしまいますね。
(これは、フィギュアスケートに限らず、ダンサーにも役者にもいえること。)
フィギュアスケートは氷の上という、なんとも不安定な状態で演技するわけですから、それを克服するというのは、相当に大変だとは思うんですけどね。。。
その点、キムヨナは意識がいきづらく、動かしづらい体幹の動きまでが、表現のためにも使われていますから、全身が表現豊かになってくれるんです。
ですから、キムヨナは単に顔の表情が豊かだから演技力があるということではなく、また、気持ちがこもっているという、抽象的なことでもないと思うんです。
体幹を中心とした全身が表現のための適確な動きをしている。
これが今回の世界選手権では際立っていたように感じられました。
(それが、あの滑っている時からの女王の貫禄みたいな、圧倒的な感じにも繋がっているんだろうなぁ、、)
今回の浅田真央の演技点と、キムヨナの演技点を比べますと、SPで2.56点、フリーで5.52点、
合計では8.08点もの差が!
(先月の四大陸選手権でも、昨年末のグランプリファイナルでも、ショート、フリー全てにおいて、キムヨナの演技点が勝(まさ)っているんですって。)
以前、キムヨナは演技に対しまして、こんなようなことを言っていました。
(正確な記憶ではありませんけど・・・)
「感情をこめて滑るというのではなく、どこでどういう表情をするのかを、決めていくようにしている。」と
私はこれを聞いたときに、
あぁ、身体から感情表現を作っているんだなと思ったんです。
私たちのマイムと一緒。
しかしながら残念なことに、キムヨナの演技力に対しまして、このような観点からのコメントは聞こえてきませんね。
演技力に対する、相変わらずの抽象的な観点しかないからだと思うんです。
演技力=心
この観点しかありませんと、行き詰まってしまうと思うんです。
演技力=身体=心
間に「身体」が入るかどうかで、ずいぶん変わってくると思うんですけどね。
と、まぁ、なんとも偉そうでしたけれど、キムヨナからは目が離せない~っ!なんですぅ。
来シーズンが本当に楽しみですわ。