演技力=身体=心
ということを、前回申し上げましたけれど、この「身体を使う」ということで、
誤解されやすいことがあることに気が付きました。
一般的に身体を使うといいますと、まず頭に浮かぶことは大きく動く、ということだと思うんです。
ダイナミックという言葉でも同じですね。
勢い良く、ということもあるかもしれません。
あるいは、柔軟性を活かして、高く脚を上げる、背中を反らせる・・・などなど。
確かにそれらは大切な要素ではあると思うんですけれど、
私がいつも口にしている意味での「身体を使う」ということではないのです。
JIDAIマイムクラスではマイムテクニックにかかわらず、またマイムテクニックにですら身体が使えるようにと、様々なレッスンをしておりますけれど、
いわゆるストレッチや筋トレといったものは、取り立ててやってはおりません。
と言いますのは、身体を使うということは、もっと他の要素にあるからなんです。
腕を背中から動かすということも、そのひとつの表れであると思うんですけど、
何が重要な要素だと思われますか?
それは・・・
肋骨。
肋骨が自由に動くこと。
って、なんだか奇人変人みたいですけど、そうではありませんよ
肋骨は左右に12本ずつで円筒を形作っていまして、決してひと固まりのものではありませんから、
そうですねぇ・・・例えば、ジャバラのホースやバネを想像してみて下さい。
それらは、自由に曲げ伸ばしできますでしょ?スライドもさせられますし、ねじることも。
さらに、ねじりながら曲げたりもできますよね?
もちろん、肋骨はそんなに滅茶苦茶大きくは動きませんけど、そんな感じなんです。
随分前に、古武術家の甲野善紀氏が言っていた「井桁崩し」というのは、こういったことだと思いますよ。
ただし、肋骨が単独で動いたからといって、
それで身体が使える、表現力があるということではありませんね。
それならば、アニメーションダンスで事足りてしまいますもの。
この肋骨の使い方は、言葉だけでの説明は非常に難しいんですよね・・・
「ナンバ」が流行ったときに、
体幹をねじらないことが、大きな特徴であるかのように言われていましたけれど、
実際にはねじれがないと成立しない動きなんです。
・・・なんですけど、感覚的には体幹をねじらないようにしますから、嘘ではないわけで・・・
とまぁ、そんな具合でありまして、やはり身体のことは、その感覚がありませんと、理解は難しく・・・
ですから、「なんだか分からないけれど、あの人の身体には表情がある」
といった表現力に対する、肋骨の動きの結びつきは、一般的にはセンスの問題になってしまうと思うんです。
これはバレエなどをやっていましても同じ。
バレエを習えば身に付く、というものではありませんね。
相当意識的に教えて下さる先生でしたら、いいですけど、そうでない限りは個人のセンス頼り。
身体を使う・・・頑張るだけでは到達できません。
けれど、センスに頼るのではない練習法はあります。
私も元々センスなんてありませんけど、そうやって身に付けてきました。
だからこそ、伝えられるのではないかと思うわけでして、、、
こういった偉そうなことを書きますと、より一層気を引き締めていかないと!
と思わざるを得ませんね。
カラダ、もっと使えるようになりましょっ!