「歩き」は全ての基本だと思うんです。
日常生活はもちろん、スポーツでも踊りでも、茶道みたいなものでも、何でも。
「歩き」は体を動かすことのOSみたいなものですね。
OSに問題がありますと、
その上に良いソフトをいれましても、
OS自体の不具合が改善されるわけではありませんでしょ?
上手くごまかすことは出来るかもしれませんけど、
どこかで大きなトラブルを引き起こすかもしれませんし、
ソフトも本領を発揮出来ていないかもしれませんよね?
整形外科的なトラブルは、「歩き」が根本の引き金になっていることが多いと思いますよ。
例えそれがスポーツのアクシデントであっても。
「歩き」が悪い・・・それはすなわち、自分の体重を移動させる能力が悪い、ということですから。
と、同時に、体全体の使い方も悪い、ということになりますから。
歩き方をおざなりにすることは、
土を大切にしないで立派な花を咲かせようとするのと同じような感じがします。
もしくは、新陳代謝などを良くしようとしないまま、肌をきれいに見せようとするような。。。
と、ちょっと厳しいでしょうか?
さて、ではそんな「歩き」を良くするには、どうしたら良いのでしょう?
背筋を伸ばす?
胸を張る?
脚を大きく動かして、歩幅を広くする?
腕を大きく振る?
足の親指でしっかりと地面を蹴る?
重心を前に倒すようにする?
リラックスして?
踵から着地する?
先日行いました「歩きのワークショップ」ですけれど、
私は、最後の「踵から着地」以外は、全て何も言いませんでした。
もちろん、そういった練習もしません。
逆に「足の親指でしっかりと地面を蹴る」のはやめましょう、とは言いました。
で、ワークショップ前後で受講された方の歩きがどう変化するのか、
撮影させていただきまして比較をしてみたのですけれど、結果としましては、
すっと腰が高く軽やかに伸びた感じになったり、
歩幅がわずかに広がったり
腕の振りが大きくなったり
という方が何名もいらっしゃいました。
(ちなみに、この日の参加者は14名。)
撮影の際、極力、ただただ普通に歩いてもらうようにしたものですから、
変化はそんなに大きなものではありません。
けれど、皆さん、脊柱の動きが出てきたおかげだと思うのですけど、
腕が脱力し自然な振りになっていました。
さらに、多くの方が受講前は、脚を前に出そうという無意識的な働きがあったために、
一歩一歩前に歩いているという感じだったんですけど、
受講後は前方へのエネルギーによって進んでいるという感じになりまして、
脚の力みが抜け、すーっと移動していくようになってきていました。
(「重心を前に」ということは、一切お話をしていませんよ。)
中には、膝にトラブルを抱えていた方もいらっしゃったのですが、
受講後はかなり改善されていたという声もいただきました。
嬉しいですね。
この「歩きのワークショップ」は
単に歩き方の改善を目的としたものではありませんで、
柔らかい動きを導き出すためなんですね。
よく、「リラックスして歩きましょう。」と言いますけれど、
リラックス出来るくらいなら苦労しませんよね。
「リラックスして」と言いながら、「○○な姿勢で」って・・・
ふつうは、「○○な姿勢で」って言われると、かえって緊張して硬くなってしまうものです。
私JIDAIは「歩き」に限らず、動きというものを
外から見た形に注目して、作っていくことはしたくありません。
あくまで、人間の骨格・関節や筋肉などの構造に基づいた、スムーズな動きになって欲しいと思っているんです。
そうすることで、その人の今ある体をベースとしながら、
より自然で力の抜けた動きを導き出していこうというわけです。
つまり、形を意識して頑張って良い歩きをするのではない、ということなんです。
疲れますでしょ?
良い姿勢をして歩くということも大事かもしれませんけれど、
良い歩きが良い姿勢を作り出すということも大切にしたいなと思うんです。
余談ですけど、オーガニックマイムでのマイムウォークは、この歩き方なんですよ。
だから全身が体幹を中心に、くまなく動くんです。
クラス生の皆さん、しっかりね。
決して、体幹を固定して、脚を後ろにスライドさせて、腕を振るだけの動きにしないで下さいね。
マイムから心と身体の平和を。