オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

マイムの見方

先日の公演『マイミクロスコープ ~夜のアートマイム劇場~』
おかげさまで、夜遅くにもかかわらず、多くの方にご来場いただきました。
ありがとうございます。

さて、そのアフターミーティングでの質問
「マイムの見方について」

「ストーリーを感じるけれど、分ったような気もするし、どうなんだろう?という気持ちもあって・・・」
というように、多くの方がマイムをどう見たらいいのかに、戸惑いを感じられていると思います。

アフターミーティングの場では、少しお答えしましたが、ある方の『胡蝶』への感想が、マイムの見方の参考になるのではないかと、少し長いですが、全文を掲載しました。
では。

↓     ↓


「胡蝶」、素晴らしい作品ですね。
圧倒されて呑み込まれて、そして満たされた気持ちになりました。

冒頭の赤ちゃん、生後数か月でしょうか。
そのあと幼児になり、幼い感情が爆発していくところ、
今思い出しても不思議なほどのリアリティでした。

「わあぁ、赤ちゃんだ~!そうか足のさきまで赤ちゃんだ~」
なんてワクワクして見ていました。

そのあと蝶が飛び回っているところは舞のように美しかったです。
足元は動いていないからダンスではないのに、まるでダンスみたいに感じました。

「おおお~、ポジションはほとんど動いていないのに、すごい躍動感だ~!」
思っていました。


そして蝶が飛び去って、夢と現実の世界がまさに交錯し始めてから。
ここからが凄かった…!

青年から自信にあふれる壮年へ、そこから一気に老いていく…
特殊メイクもなにもしていないのに
顔の筋肉がみるみる変化して一瞬で年を取っていく…
しかも、それが何度もループされる!

トリックのある映画や映像表現ならびっくりしないけれど、
目の前でそれをひとりの人間が自分の体だけで自在に表現しているということの
不思議さと驚き。

「私なんてもの見ちゃってるんだろう!」
という気持ちです。



死んだ(?)後からの、蝶を主体とした展開は私の想像を超えていました。
なんだか本当に不思議な世界に連れ込まれていく感じでした。

そして終わった後には、ものすごく満たされた感覚が私の中に残っていました。
すごく温かくてなにかはっきりして、種みたいな硬さのあるものがおなかのなかにポン、
と入ってきたかんじ。

言葉に表せないです、それこそ。


胡蝶は、人の一生を表現するというすごいテーマだったと思います。
それに、いつもの夢と現実の間にあるような不思議さもいっぱい。
そしてなにより、JIDAIさんの身体の使い方が見どころでした。
あらゆるシーンで、体が生命力そのものでした。

肉体の感覚が、舞台の上に確固として「ある」ということが
どうやら私にとっては感動のポイントのようです。
「ある」ってことは、体感するのも表現するのも実はなかなか難しいことではないでしょうか。
ちょっと禅問答みたいですけど。


また、この作品は概念的・観念的になりすぎないところが、
すごく重要なポイントだったと思います。
具体的に、蝶も見えたし、赤ちゃんも見えました。
まさにパントマイムの技だったと思います。

そうか、これが舞踏とマイムの違いなんだ…と思いました。
精神性や感情表現に頼って世界観を表そうとすると、
マイムじゃなくなっていくんだと思います。

印象、抽象、概念、観念、感覚などだけを取り出してしまうと、
パントマイムの特徴や良さが、少し減ってしまうのかもですね。


以上、ありがとうございました。




Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!




マイムから心と身体の平和を


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