オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

真面目に先生の言うとこを聞く人の落とし穴

前回、「つながり」を取り上げましたので、そのつながりで(笑うとこです 笑)、今回は、


「どうして言われたことをやっている、やろうとしているのに、

先生のようにならないんだろう?」


ということについて、お話したいと思います。




これは、ひと言でいいますと、先生が指導の際に使う言葉は、
本来、全体のつながりを生み出す方法についてであるはずなんですけど、
どうしても部分的なことになってしまうからなんですね。




例えば、


「お腹に力を入れる」




前回、「丹田から動くことの良し悪し」に触れましたけれど、
この「お腹に力を入れる」は、全体をつなげているときに、結果としてなっている状態なんですね。



ですから、お腹に力を入れるという”能動的”なものではなく、



「お腹に力が入った状態にする」



という”受動的”ニュアンスで言った方が、本当に近づくんですね。





けれど、どうですか?
こんな言われ方されても、困ってしまいますね(笑)




では、先生は分かっていて、けれど、あえて「お腹に力を入れる」と言っているのか?といいますと、


そこが、かなり怪しい(笑)





先生によっては、本当にただお腹に力を入れてるだけかもしれない。
本来の意味を持たない力、見かけだけ、ということは多々あると思うんです。



あるいは、お腹に力を入れるという能動的な意識だけれど、
上手くつながりが生まれているという先生。
こういった先生は多いと思います。

もちろん、つながりの精度、質はそれぞれです。





これは、前回お話しましたように、
体幹から動くことと末端から動くことが、どちらも本当であるということでして、
お腹に力を入れるという能動的な意識だけでも、結果が出てしまう例ですね。



けれど、お腹に力を入れる際の、力加減・・・


これがどの程度出来ているかどうかで、どの程度つながれているかどうかが分かります。




と、ここで驚かれた方もいるのではないかと思います。




お腹に力を入れる際の、力加減?




「一生懸命、力を入れればいいと思っていた。」


「力が弱いからダメなんだと思っていた。」



という方は多いのではないでしょうか?





こういった例はいくらでもありまして、


「力を抜く」「お尻を締める」「頭から吊られているように」・・・




真面目に先生の言うことを聞く人ほど、この罠にはまりやすい。




何せ、どのくらいの加減でやればいいのか、あまりに曖昧ですものね。






大抵は、


「もっと!」


って、言われると思います。




けれど、それは単に足りないのではないんです。



本来求めている状態、つまり全体がつながった状態になっていないということなんです。
「もっと」やったからといって、達成できるものではないんですね。




ところが、多くの先生は受動的に生まれる感覚であることを知らず、
自分が能動的に行なうことで、上手く出来ているという意識があるものですから、
「もっと」やれば上手くいくと考えてしまうんです。




「それは、やり過ぎ。」


と言われることもあるかもしれませんけど、同じことですね。






いずれにしましても、


その言葉通りのことをするのが目的ではないんです。


その言葉はひとつの手段であったり、結果であったりするだけ。



つながりを作りたいんです。





真面目な生徒さんほど、先生の言葉通りのことをしようとしますから、
どんどんワケが分からなくなってしまいますよね。




ですから、先生によっては、教えないという教え方をする人もいると思います。



言葉では、伝えられない、誤解を生むと考えるからであったり、
あるいは天才過ぎて、私たち凡人には分からない表現しかしない(笑)




まぁ、それはおいておきまして、
そもそも、先生自身が「つながりが大事」という意識がない場合が多いと思うんです。



感覚的に分かっている先生もいるとは思いますけれど、
もし、つながりが大事という”意識”があれば、必ず、別の言葉なり方法を提示するはずなんです。




ちなみに、私が原始歩き同好会でいろいろな四足歩行をしているのも、
声(音)を体に響かせることをしているのも、
全ては、
「つながり」の精度を上げ、
息を詰めてしまいそうなとき、速い動き、筋力頼りになりそうな大きな力を発揮するときでも、
しっかりとつながりの状態を作っていられるようにするためなんです。


ただ、面白がっているだけではないんですよ。(笑)




さて、幼い頃から指導を受けていたり、周囲に良い環境があったなら、
先生の言う言葉を真面目に聞くことで、上手くいくかもしれませんけれど、
そうでないなら、
先生の言うことをやるのではなく、


その状態を自分であらためて発見しよう


という気持ちが必要なんです。





「ああ、確かに先生の言う通りだ。」


と。





その発見の悦びは、本当に大きいですよ。


その悦びを味わった数だけ、その悦びの深さの分だけ、必ず身について上達しています。


それは、他人と比べるものではありませんよね。


表面的には同じ言葉であっても、その意味するところの深さが違ってきます。



他人の言葉としてではなく、自分の言葉にする。
頭での言葉ではなく、身体からの言葉に。



真面目さを上手に活かして下さいね。






2月1日 『声(音)を体に響かせる〜身体感覚を磨く




2月12日 『「立つ」「歩く」レッスン 土台編/中級基礎編





2月15日 『表現者のための呼吸 
心と身体のワークショップ』







Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!




マイムから心と身体の平和を


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