オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

体幹と末端…最も効果的な鍛え方?

前回の記事で


体幹を鍛えた成果” ”体幹を鍛えたことが裏目


ということが出てきましたので、今回はそのあたりのことを。



「鍛える」というのが、どういうことなのか?ということがありますよね。


一般的には、筋力を上げて強くするということだと思います。


私も強さは必要だと思うんですね。筋力が必要無いとはいいません。
けれど、強さを担うもののひとつに筋力もある、それくらいの意識です。



そもそも、なぜ体幹が大事なのか?ですよね?



体幹の役割、その重要性を分からないままでの「強さ」では、意味のある強さにはなりませんものね。



そこで、考えてみたいことがあります。



体幹から動く” ”末端から動く”




体幹から動くのが良いというのは、聞くことが多いのではないでしょうか?


末端から動くというのは、もしかしたら、初めて聞かれる言葉かもしれませんが、
末端から動くのが良いという世界・人たちもいるんですよ。基本的には手先からですね。



この末端から動くのが良いといいますのは、
例えば、手先が目的地に向かって動き出すと、体全体が自然とついてくるということなんです。
そして、そのほうが実は強い。それは、体がひとつにまとまっているから。
そういった考え方ですね。



馴染みのない方には、?かもしれませんけれど、実際、そうなんですよ。


例えば、クッキーをつまんで食べるとして、どうですか?


体幹から動こうなんて思いもしませんでしょ?


動きがバラバラになりそうですよね(笑)



ドアノブに手を伸ばすのだって、本のページをめくるのだって、そうですよね?


手ではなく、足も。空き缶を蹴るのだって、同じ。



それが自然なんです。



ところが、力を出すには?と頭で考え始めると、体幹から動くのが良いとなってしまう。。。
おかしいと思いませんか?



とはいうものの、私もずいぶん以前は、そのことを分かっていませんで、
体幹から動くのが良いものだと思っていたんですね。



そこで、そのことを知ってからは、自分の身体で検証してきたんです。



実は、体幹といいますか丹田から動くということを、
アートマイムを教わっていた時に、言われていたんですけど、
末端(足と手)を適切に動かすことで、丹田とつながる、
丹田から動いているような感覚になることが、ある時から分かってきていまして、
丹田から動くように意識するのは、あまりいいことではないと考えていたんです。
もう10年以上前くらいからでしょうか?



ですから、末端から動くというのは、頭的にも、身体的にもすんなり入ってくるものがあったんです。


で、言えますことは、やはり、末端が体幹とつながるような動き方をしなければいけないということ。



何を当たり前のことを

…ですよね(笑)



ところが、これが出来るくらいならば、苦労しないんです。



それは、体幹から動くのが良いというのも本当ですし、
末端から動くのが良いというのも本当だからなんですけど、
つまり、どちらかが正しいというのではなく、

どちらもその通りだと思えるような動作になっている必要があるんです。




先ほどの末端から動くことの例は、どれも大きな力を必要としない動作でしたでしょ?


ですから、体幹との結びつきが弱くても、問題が起きないのですけど、
いざ大きな力を出そうとすると、どうなるか?



つい、末端だけで力を出そうとしてしまう。
つまり、手・腕や足・脚の筋力ばかり使ってしまう。


それで、世間では昔、腕や脚の筋力アップが当たり前だったんですね。


それが、ある時から、腕や脚ではないぞ!体幹が大事だ!となってきたわけです。




ところが、体幹から動くのが良いと思っている人の多くは、末端への意識が希薄なんですね。
ですから、末端にエネルギーが伝わりづらい。


体幹から順に末端へと動きが起きていきますから、
本来、力を伝えたい末端の動きが一番遅れてしまい、
動作によっては、振り回すような感じになってしまう。



例えばそうなりますと、
体幹と末端のつなぎ目にあたる、肩、ときに肘に過度の負担がかかり、

ケガをしてしますんです。

何しろ、物凄い力で引っ張られてしまうわけですからね。




一方、末端から動いて大きな力を出すというのはやはり、かなり難しいことでして、
つい末端の筋力に頼ってしまう。
肩に力が入ってしまうというのは、その現れですね。




多くの動作におきまして、末端というのは、
一番力を伝えたい、最終的には一番力を発揮して欲しい箇所ですよね。



それは、逆から見ますと、

末端は反力を受ける入り口、一番最初に重さを受ける箇所

ということなんです。





例えば、ボールを投げるとき、
末端である手先にはボールが手先を押してくる力が生じているんですね。

テニスで打ち返すときのほうが、イメージしやすいかもしれません。
ラケットは向かってきたボールとの衝突で、かなりの力で押し込まれますよね?



一番力を発揮して欲しい箇所である末端は筋力が弱く、筋力が強いのは体幹



となりますと、末端と体幹が一体化できれば、いいわけです。
そこで、重要なことは、「つながる」ということになるんですね。


ロボットのように固めるということではありませんよ。



末端と体幹がつながる。


です。





ただ、「つながる」というのは、言葉は簡単ですけど、
もうひとつ身体的にはピンと来づらいと思うんですね。



どのようなつながりになれば良いのか?が、はっきりしませんと、
観念的にイメージだけで出来た気になってしまいますものね。



そして、いよいよここからが非常に重要になってきます。


では・・・




末端は反力を受ける入り口というお話をしましたけれど、では、最終地点はどこでしょう?


それが、体幹であったり、反対の末端、足だったりするんです。
(足を通して地面、地中というのは、今回はおいておきます。)



末端に伝えるべき力は、この受けの最終地点から出ている必要があるということなんです。


もう少し厳密に言いますね。



末端で受けた反力を、
然るべき地点(体幹、反対の末端など)で受けられるようにする。

その地点から末端へと力を伝えるようにする。



この2つのことが、同時に成り立つようにする。



(これは例えば、ボールを打った瞬間だけではありませんで、
動き出しからそのように動くことが大切になりますが、詳しくはおいておきます。)



念のため…最も重要なこと、それは、先の2つのことが、同時に成り立っていること!




この状態のとき、体幹から動くという意識でも、末端が遅れることはありませんし、
末端から動く場合も、体幹と切り離されることなく、大きな力が伝わります。


要するに、本人の意識、感じ方の問題で、どちらも同じこと、ということなんです。




さて、こうして見てきますと、冒頭の”体幹を鍛えた成果” ”体幹を鍛えたことが裏目”に始まりました、
体幹を鍛える」とはどういうことか?ですけれど、
少なくとも筋力を高めて固める力を強くする、ということではないことは、
お分りいただけるのではないかと思います。



筋力を高めて固める力も必要ではありますが、そういった面もある、そんな程度なんですね。
大事なことは、何かと言えば…




どう、つながるか?



です。



つながりの精度のために、結果として体幹が固まるのと、
単に固めるのとでは、全く意味合いが異なります。



つながり無くして、筋力を高めるといいますのは、
昔の腕や脚といった部分的な筋力アップを、体幹に置き換えただけなんですね。


腕や脚の筋力を高めて、結果が出る人は今も昔もいますし、ダメになってしまう人もいるでしょう。


同様に、体幹を鍛えて(固める筋力を高めて)、結果が出る人も、ダメになってしまう人もいるということなんです。




いかに、全体のつながり、力の流れを捕らえて身体をつくるか?


この視点がありませんと、何をやっても枝葉末節のことで、
上手くいく場合もあれば、上手くいかない場合もあるといった状態から抜け出せません。



いつでも、つながった状態でいる。
つながった状態で、様々な動きをしていけるように、訓練していく。




これは、私が筋トレやストレッチといった考え方をレッスンに取り入れていないにもかかわらず
筋力も柔軟性も上がる理由ですね。



もちろん、この「つながる」ということの精度を上げていくための研究・訓練に終わりはありませんで、
私もここで偉そうなことを言っておりますけれど、日々、前日までの甘さを痛感しています。




どこもかしこも、体幹を鍛えることの素晴らしさに満ち溢れていますけれど、
こんな考えもあると知っていただければと思います。










2月1日 『声(音)を体に響かせる〜身体感覚を磨く




2月12日 『「立つ」「歩く」レッスン 土台編/中級基礎編





2月15日 『表現者のための呼吸 
心と身体のワークショップ』







Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!




マイムから心と身体の平和を


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