オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

“思い”は大事であるから、最初にもってくる…でいいのか?

”思い”は、一番最後。



演じる際に、多くの方が”思い”が一番大事だと思われています。

それは、確かに否定できるものではありません。

けれど、大事であるから、一番最初にもってきてしまう・・・

そこに大きな問題が生じるんです。



”思い”は、一番最後にもってくる必要があるんです。



このことをお話する前に、ひとつ確認しておくべき大事なことがあります。

それは・・・

何のために舞台に立つのか?

舞台でなくても、人前ということでも構いません。


何のために、それをするのか?



どうでしょう?

もし答えが、「自分の思いを発散するため」でしたら、
この先を読まれるのは、時間がもったいないかと。



先に進みましょう。



何のために舞台に立つのか?といえば、

それは観客に伝えるためのはずです。



それは、自分の中に観客(の気持ち、目線)を持つということです。


自分の中に観客不在ということですと、
自分の思いを発散するために舞台に立っているということになります。



では、

観客は舞台上のあなたの何を見ているのでしょう?



・・・質問の中に、すでに答えが出てしまっているのですが、観客は「見ている」んですね。

客席で目を閉じているということは、普通はありませんね。

(声を聴くことに集中するために、目を閉じることはあると思いますが、それはまた後ほど。)



目を閉じていては、耳を塞いでいては、舞台上であなたが何をしているか、どうなっているのか、
皆目見当もつきませんものね。



ところで、

”思い”って何でしょう?



”思い”は目に見えるものでしょうか?手で触れることの出来るものでしょうか?

無理ですよね。


”思い”は抽象的なもの。

心の中の、形をもたないもの。


観客は目を開けていても、”思い”そのものを見ることはできません。



となれば、


その”思い”を伝えるためには、

一旦、形あるもの、具体的なものにして、

観客の目に映るようにする必要があります。




例えば、微笑み。

微笑みが浮かぶような気持ちを、あなたがもったとして、能面のような顔では伝わりません。

観客も知っています。目を閉じていたら、その微笑みを見ることが出来ず、
あなたがどんな”思い”をもっているのか、分からないということを。


全ては、具体的な身体の動きによってでしか、伝えられないのです。


もし、微笑みが浮かぶような気持ちをもったにもかかわらず、
苦虫をかみつぶしたような顔になってしまったら、どうでしょう?



あなたの”思い”よりも、表面に現れるものが伝わるんです。



そして、心と肉体では、圧倒的に肉体は不自由です。

その不自由な肉体を通してでしか、表現できないんです。



楽器演奏を考えると、分かりやすいですね。

素人の私がいくら”思い”を込めて演奏しましても、演奏にすらならない。

私が舞台で演じているときのような心の状態になっても、演奏は出来ないんです。

私には、楽器を操る技術がありません。



これは演技でも同じなんです。

肉体を操る技術が必要なんです。


楽器に比べて、自分の肉体は普段から自分の意思で動かしていますから、
何だか”思い”を込めさえすれば、自動的に良い塩梅で動いてくれそうな気がしてしまいますけれど、
ここが落とし穴ですね。


声・歌も同じです。
発声も肉体という具体的な道具を使うわけですから。


楽器でしたら、”思い”を込めて演奏なんて、当面無理だろうと、誰でも思うことができます。
まずは、演奏の技術を身につけることに専念するはずです。


演技に必要な肉体操作も、同様に考えられれば、取り組み方は違ってきますよね。



”思い”は、的確な肉体操作の一番最後に加えるもの。

肉体操作だけでは、ただの運動になりかねないところを、
心の表われとしての身体とするために、”思い”を加えるんです。

(実際には、”思い”を加えるというよりも、”思い”を加えた時の身体感覚に意識を向けることなのですが、それはまたあらためて。)



ですから、普段の肉体的な訓練は、肉体操作だけの表現であっても、
ただの運動にならないようにする、そのための工夫が重要になるわけです。

そういった意味で、
演技のためにということでの、筋トレやストレッチ、踊りなどの稽古は、注意が必要。
単なる肉体訓練になりかねません。



さて、最後になりますが、観客に伝えるためであれば、伝わるようにすることが、最優先です。

今までのお話と逆のようですが、
肉体操作がままならないうちは、”思い”を一番最初にもってきたほうが、よいこともあります。

けれどそれは、あくまで「仕方なく」です。



単なる肉体訓練になってしまわないような、肉体操作術の訓練は、簡単ではありませんし、
教えてくれる人もあまりいないでしょう。


不自由な肉体操作を心に優先させることは、勇気が必要です。

何しろ、ただの運動(形)になってしまい、何も伝わらないかもしれないわけですから。



それは、結局のところ、どれくらいのスパンでモノを見ているか?です。


目の前の結果を一番重視するのか?

それとも、先の結果を見据えながら、今の結果に目を向けるのか?








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